■スマホ動画広告のパケット代は1回20円也!

スマートフォンにアプリをインストールすれば、用途はどんどん広がり、電卓やメモ帳といった基本的なものからマンガの閲覧、作詞作曲、動画の編集まで行える現状では、もはやできないことを探すほうが難しいともいえます。

iPhone、Androidともにたくさんのアプリがあり、同一の用途でもさまざまな選択肢がありますが、多くの場合、無料のアプリを使うことが多いはずです。

そういった無料アプリではアプリ内に広告が表示され、その広告でアプリ開発者は収益を得ている場合が多いです。ユーザーの負担なくアプリを使わせてくれる開発者には、もちろん感謝すべきですが、経済的な観点で言うと、必ずしも無料アプリが正しい、といえないこともあります。

パケット通信量は有料であり、広告を表示するのにはパケットを使用するからです。

例えば、NTTドコモの料金プラン「ギガライト」で5ギガバイトの通信を行った場合、月の料金は税抜4980円です。1ギガバイト=1000メガバイトですから、この場合「通信量1メガバイトにつき約1円を支払っている」ともいえます。

若年層の間で流行している無料マンガアプリ「comico」を例にあげてみます。

このアプリは基本無料でマンガを読むことができますが、一部の作品やエピソードはポイント制となっており、有料でサイト内通貨を購入するか、広告を視聴して1話ぶんのポイントを貯める必要があります。

広告を見てポイントを獲得しようとする場合、動画タイプの広告が流れ、動画を表示するために約5〜20メガバイト程度の通信が発生します。

マンガ自体を読み込むためにも通信は行われますから、1話を読むために使う通信料はおよそ20〜40メガバイト。「comico」の単行本は多くの場合、10〜12話で1巻ですから、1巻ぶんのダウンロードを行うために480メガバイトを使う可能性もあると考えると、580円で手元に残る単行本を買ったほうがいいかもしれません。

その他のアプリでも同様のことがいえます。

Android用のアプリ「Speed電卓」は四則演算、関数やパーセンテージといった基本的な機能だけでなく、途中式の表示や編集も行える優秀なアプリですが、無料版の場合、電卓下部にバナー広告が常に表示されます。このバナー広告を読み込むことに使用する通信量は微々たるものですが、計算途中に広告を押してしまった場合、当然ですが広告ページを読み込むため、別途で通信が発生します。表示されたソフトバンクの新機種紹介ページを読み込んだ際は、20メガバイトほどを消費しました。

■有料版を買ってしまったほうがいい

120円で購入できるSpeed電卓の有料版は機能に差こそないものの、広告が表示されません。このアプリは買いきりのため、生涯に6回以上、広告の誤タップをする場合は有料版を買ってしまったほうがいいかもしれません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/yourstockbank)

もちろん、これはすべてモバイルデータ通信を使用した場合の話であり、データ通信量を消費しないWifi環境ではこの限りではありませんし、パケット単価が安いNTTドコモの「ギガホ」やソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」のような大容量プランを使っている場合も、無視できるかもしれません。

「自分に合ったプラン」とは何かを考え直すと、新たな発見があるかもしれません。

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山野祐介
行動するお金博士
1991年生まれ。自らの節約生活をもとにした「1週間食費0円生活」を月刊誌で連載中。節約術やお金の最新事情に精通。

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(行動するお金博士 山野 祐介 写真=iStock.com)