上野樹里

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 実に13年ぶりの“月9”主演という上野樹里(33)。7月8日の初回放送は、視聴率13・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同じ)と最高と言っていい滑り出し。

 監察医の娘(上野)がベテラン刑事の父(時任三郎)とともに、遺体の謎を解明していくドラマで、月9らしくない真面目な作り。だが、その一方で、同業者からは「ズルい!」との声も。

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 彼女の月9主演は2006年に放送された「のだめカンタービレ」(玉木宏とのW主演)以来という。周りから変態と言われるほど型破りだが天才的なピアノの才能を持つヒロインは、上野のキャラそのもの。女優として何でも演じられ、天才の名を欲しいままにした。にもかかわらず、13年も月9主演から遠ざかっていたとは……。

上野樹里

 民放プロデューサーが振り返る。

「朝ドラ『てるてる家族』(03年度下半期)では、行き詰まるとマンボを踊り出すという、珍妙なヒロインの妹役も自然に演じ、10代から20代半ばまでは、まさに天才的な演技を見せた。しかし、11年に彼女が主演した大河『江〜姫たちの戦国〜』(NHK)で評判は急降下。NHKも何を考えたのか、主人公の幼少時代に子役を使わず、6歳の少女を当時24歳の彼女に演じさせる無茶ぶり。いくら演技派でもさすがに無理がありました。しかも史実とは大きく異なるストーリーで、“ファンタジー大河”と揶揄される始末。視聴者から批判も殺到。撮影時の彼女のわがままぶりなども報じられるようになり、大河以降はあまり起用されなくなっていました」(同)

 それまで毎年のように取っていた演技賞などからも遠ざかった。久しぶりにその名が挙がったのが昨年放送された山崎賢人主演の「グッド・ドクター」(フジ)。ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞を受賞した。

月9ドラマのどん底から復活まで

「コミュニケーションの障害をもつ山崎と違って、ヒロインの彼女はごく普通の医師役でしたが、奇抜なことはやらなくても演技の上手さが光っていました。フジもそれを評価し、今回、主役に起用したのでしょう」(同)

 だからなのか、月9らしくないと思われるほど、生真面目な作りのドラマだ。

5作連続初回二桁の月9ドラマ

「『のだめ』色は全くありませんね。初回冒頭からBGMも使わず、おちゃらけにはしない固い意志を感じました。上野の父には時任三郎、彼氏役には風間俊介という実直な役者や、中尾明慶や板尾創路、柄本明、三宅弘城など芸達者も揃えて、ヒューマンな物語に仕上げています。初回は大人しすぎると思われるほどでしたが、面白くじっくりと見ることができました。視聴率の良さも納得がいきます」(同)

 月9はここ1年、ようやく復活の兆しを見せてきた。18年1月期の「海月姫」で平均視聴率6・1%という史上ワースト記録を出したのが、18年7月期から5作連続で初回視聴率は2桁となっている。「朝顔」は前作「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」の初回12・7%を1・0ポイント上回った。

「だけどね、ちょっとNHKの朝ドラから引っ張ってきすぎじゃないのかなあ。『ちょっとズルい!』と言われてますよ」

 確かに、放送中の「なつぞら」の北海道編でのイケメン吉沢亮の父を演じた戸次重幸は、時任の上司役。ヒロインなつ(広瀬すず)が暮らしているおでん屋の女将で元ダンサーの山口智子は、上野の上司として出演している。

「山口さんは月9出演が『ロングバケーション』以来の23年ぶりだそうですけど、あのサバナサバした主任教授は、『なつぞら』の女将キャラとほとんど一緒ですね。まあ彼女はそういった役どころが多いのですが……。それよりも初回で亡くなって監察に回されることとなったお母さんの娘役です。『なつぞら』でヒロインの少女時代を演じて絶賛され、第2の芦田愛菜との呼び声も高い粟野咲莉ちゃんでした。放送中のドラマから3人も引っ張ってきた力業にはビックリですよ。スタッフを見てみると、ディレクターの平野眞さんや澤田鎌作さんはベテランです。上野の母親役には『あすなろ白書』以来の26年ぶりの月9という石田ひかりをもってくるなど、抜かりない。1話には出てきませんでしたが、演技派の志田未来もレギュラーということなので、今後も楽しみです」(同)

 1話完結のドラマだが、同時に東日本大震災で母(石田)が行方不明になったままというストーリーも描かれる。

「原作の同名マンガでは阪神淡路大震災ですが、設定を変更しています。上野演じるヒロイン朝顔は、一緒に母の実家を訪ねて被災し、いまもトラウマになっていることが初回で描かれた。あれからもう8年。被災地の復興を風化させないためにもいいことだと思います。だからこそ今回は、おちゃらけた演技は求められていないのでしょう」(同)

 上野にとっては大河「江〜姫たちの戦国〜」からも8年となる。これで、あの汚名も払拭できるか。

週刊新潮WEB取材班

2019年7月14日 掲載