さらにいえば、なぜ「バルサ化」なのか。なぜカウンターなのか。その辺りが詳らかにならないと、ファンの知識、意識は上がっていかない。サッカーという競技の魅力も明らかにならない。

 フィンク監督新率いる神戸は、ボールの奪われ方、奪い方に問題を抱えていた。マイボールと相手ボールの境界がハッキリしているサッカーと言ってもいい。かつてのバルサはパスサッカーの前に、いいボールの奪い方をするチームだった。相手から瞬く間にボールを奪うことでパスサッカーは成立していた。まさしくそれはプレッシングサッカーだった。

 試合は神戸が1-0で勝利した。決勝ゴールを決めたのはイニエスタ。西大伍の右センタリングを逆サイドで受けると、GKの読みとは異なるニアサイドへインフロントで鮮やかに蹴り込んだ。まさに、イニエスタ見たさに集まった1万数千人のファンに捧げるような一撃だった。

 ただこのシーンについても一言いわせてもらえば、イニエスタと同様に光ったのはクロスボールを蹴り込んだ右SBの西だ。彼の視野の広さと洒脱なキックなしに、このゴールは生まれなかった。FC東京の右SBで日本代表の室屋成には、いまのところ拝めない魅力だ。

 FC東京の勝ち点は33で変わらず。2位川崎F、3位鹿島との差はじわりと詰まることになった。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)ですでに敗退している川崎Fが何となく有利に見えるが、昨年より強いという印象はない。となると、FC東京にもチャンスはあるという話になるが、久保建英が退団した影響も大きそうであるし、シーズン後半、ホームの味の素スタジアムがラグビーW杯の会場として使用されるため、アウェー戦が続くハンディを抱えている。

 世界的にも珍しい混沌とした国内リーグ=Jリーグを制するためには、有能な外国人選手を新たに獲得することが不可欠と個人的には見ているが、今後の展開はいかに。