“会いにいけるアイドル”は今や当たり前になりつつありますが、それは女性アイドルに限った話ではありません。

最近メディアでとりあげられることが増えた「メンズ地下アイドル」もそのひとつ。

「ファンとの距離が近すぎる」など、ちょっと悪いうわさを耳にすることがありましたが、実際のところはどんな存在なのでしょうか?

今回は、 “メンズ地下アイドル”界でトップを走る「新世紀えぴっくすたぁネ申」のメンバーに直撃。

メンズ地下アイドルの活動や恋愛観、お金にまつわる話など気になる疑問をぶつけてみました!


【新世紀えぴっくすたぁネ申(しんせいきえぴっくすたぁごっど/通称:えぴすた)】2015年10月に“アイドル系ヲタクグループ”「EPICSTAR」として結成。2017年10月に行われた2周年ワンマンライブでグループ名をEPICSTARから「新世紀えぴっくすたぁネ申」に改名。2017年7月にはフランスで行われた「JapanExpo2017」に出演。現在10人体制。左からアヤァ・オブ・ザワールド、HIЯO・チッチャ・エンペラー、池田

〈聞き手=楳田佳香〉

楳田:
まずはみなさん、自己紹介をお願いします。


HIЯO・チッチャ・エンペラーさん

HIЯO:
レッド担当のリーダー、HIЯO・チッチャ・エンペラー、27歳です。

スケジュール管理やツイッター更新、メール対応、お金まわりのことなどマネジメント全般を担当しています。


HIЯO・チッチャ…?


アヤァ・オブ・ザワールドさん

アヤァさん:
可能性の獣”こと水色担当、アヤァ・オブ・ザワールド、28歳です。

作詞・作曲したり、衣装を考えたり、プロデュース担当です。


“可能性の獣”…?

楳田:
アヤァさんはどうして女装を…?

アヤァさん:
特に深い意味はなくて、シンプルに目立てるからですね。


池田さん

池田さん:
オレンジ担当の池田です。

最年少の22歳で、健気なサポーター、ムードメーカーをやらせてもらってます。

耐えられなかった担当編集・福田:
それぞれの名前のクセがすごい!! なんで最後だけ池田!?

池田さん:
自分は最年少なんで…


(全然キャラがつかめない…)

メンズ地下アイドルへの入り口はだいたいスカウトから

楳田:
まず、みなさんはなぜメンズ地下アイドルになったんですか?

HIЯOさん:
僕は大阪の道頓堀でキャッチをやってたらスカウトされたんです。そこで「面白そうだな」と思ってアイドル活動を始めました。

ただ、当時の事務所にダマされていて…

楳田:
何があったんですか?

HIЯOさん:
ギャランティーが売り上げの60%という契約だったのに、10%しか支払われなかったんです。

それで大阪でアイドル活動やってたらダメだなと思って、とりあえず東京に出てきて前身の「EPICSTAR」を自分たちで結成しました。

福田:
ええ…業界の闇がやばい…

アヤァさん:
僕は元々声優になりたくて、養成所に行ってたんですよ。そこで知り合ったメンズアイドルグループの人にスタッフとして手伝ってくれと誘われたんです。

そしたらいつの間にかメンバーが足りないからやってくれないか?って話になって、しぶしぶ始めました。



アヤァさん:
ただ、「お前は黙って俺の言う通りにやってればいいんだよ」っていうプロデューサーだったんで、ケンカして事務所を辞めて「EPICSTAR」に入ったんです。

楳田:
事務所トラブルは、みなさん一度は経験されるものなのでしょうか…

ちなみに池田さんは…?

池田さん:
僕はもともと池袋で居酒屋のキャッチをやってて、そのときにたまたま声をかけたのがアイドル事務所の社長だったんです。

そこでスカウトされてアイドルになりました。


メンバーの入れ替わりも激しいというメンズ地下アイドル業界。キャッチのお兄さんはスカウトされがちなようです

楳田:
ではみなさん、自分から「アイドルになりたい!」って気持ちで入ったわけではないんですね。

アヤァさん:
そうですね。ただ、みんなエンタメは好きなんですよ。音楽やってたり、舞台やってたりした人が多いと思います。

僕らは「ライブがしたい」って意識がメンバー全員高く、それができるからメンズ地下アイドルをやっているだけですね。


池田さんはもともと芸人志望でNSCに所属していたんだとか

禁断の質問1:メンズ地下アイドルって儲かるの?

楳田:
じゃあ続いて、メンズ地下アイドルについて気になっていることをきかせてください。

ぶっちゃけ稼げるんですか…?

アヤァさん:
事務所によって収入はバラバラですね。

僕らは普通に飯を食っていける程度しかもらっていません。

楳田:
稼いでいるところは、何が違うのでしょうか?

アヤァさん:
ファンとの距離が近いグループや事務所は、ライブ後のチェキ撮影ですごく稼いでいるんですよ。

楳田:
ああ…その特典会の様子がメディアで取り上げられていましたよね。

1回1000円のチェキ撮影で、「後ろから抱きしめてもらう」とか「馬乗りになる」とか。

アヤァさん:
僕らはそういう過剰なサービスを一切やらないんですが、チェキ会に力を入れているグループは月に100万円とか稼いでいるそうです。


なかにはキスとかしてる人がいて、「ちょっと違うんじゃないの?」って思うんだとか

池田さん:
人によっては「リア恋(アイドルに対してファンが本当に恋愛感情を抱くこと)」を狙っている人もいますよ。

そうすると、どれだけ売れてなくても、「私たちが支えてあげなきゃ」っていうお客さんがチェキを撮ってくれて生活はできるようになりますから。

楳田:
好きな人に1000円でハグしてもらえたり、耳元でささやかれたりしたらうれしいですもんね。

どんどんチェキにお金を払う理由もわかるかも…

HIЯOさん:
僕も昔はやってたんですよ。チェキもいっぱい撮ってくれるし、プレゼントとかも多いし、かなり稼げました。

ただ…ファンもどんどんエスカレートしていって粘着質になるんですよね。だからかなりめんどくさくなってやめました。


当時稼いだ金額については濁されました

福田:
「稼ぐ」という意味では、ホストとかじゃダメなんですかね? 

なぜメンズ地下アイドルなんですか?

HIЯOさん:
こっちのほうが、達成感があるんですよ。

毎回ライブで完全燃焼して、それでお金を稼げるから。今でもメンズ地下アイドルをやっている理由はそれに尽きるかもしれません。

アヤァさん:
僕も自分の好きなエンタメができているからですね。稼げるにこしたことはないけど、稼ぎたいからやっているわけではないです。

池田さん:
僕も楽しいからです。


稼げるからやってるわけではないんですね…

禁断の質問2:ファンと交際ってあるの?

楳田:
続いての質問です。

さっき「リア恋」のお話をされていましたが、ファンの方と恋愛関係になることはあるんですか?

HIЯOさん:
うちはファンと個人的に連絡をとるのはNGにしています。過去にはそれでメンバーをクビにしたことがありました。

アヤァさん:
ファンに手を出しちゃうアイドルは、アイドルやる権利ないんじゃないかって思いますね。

楳田:
そこは厳しいんですね…

ほかのグループではあるんですか?

アヤァさん:
1グループに1人は、ファンと交際していると思いますよ。

メンズ地下アイドルは、SNSでDMを解放するのは当たり前になっていますから、ファンとつながれる機会なんて山ほどあるんです

まあ、プロとして、それをやったらおしまいな気もしますけどね…


ファンとの恋愛にめちゃくちゃ厳しいアヤァさん

福田:
でも、メンズ地下アイドル業界には、「モテたい」って気持ちから入った人もいると思うんですが…

池田さん:
そういう人って、これまでモテなかったんでしょうね!


池田さんが急に本性をだしてきた

池田さん:
「モテたい」って発想でメンズ地下アイドルになるヤツって結局、何をやっても中途半端なんですよ。

特典会でキャーキャー言われればいいから、ダンスもパフォーマンスも下手なままだし。それと一緒にされるのは不本意ですね。


業界内の偏見のほうが激しいのかもしれない…

「気持ちが乙女な人が多い」意外すぎるメンズ地下アイドルの素顔

池田さん:
恋愛の話が上がりましたけど、メンズアイドルってゲイも多いんですよ。

楳田:
えっ、そうなんですか!?

HIЯOさん:
メンズ地下アイドル同士の色恋沙汰とかけっこうあります。

劇場の数も限られているので、「あいつとあいつ別れたらしいよ」みたいな噂はすぐに回りますしね。

池田さん:
うちはメンバー全員が男(ストレート)なので、むしろ珍しいんですよ。

アヤァさん:
僕ら基本的に女の子が大好きですもん。

福田:
それは公言していいんですね…

アイドルだったら恋愛はご法度なのでは?

HIЯOさん:
業界内では、彼女の存在を公表してる人もいるし、結婚してる人もいますよ。


そうなんだ…

禁断の質問3:メンズ地下アイドルは将来をどう考えているの?

楳田:
じゃあ最後に、みなさんには最終ゴールなどはあるんですか? やっぱり芸能界とか?

アヤァさん:
僕にとってメンズ地下アイドルは完全に通過点です。将来的には自分のエンタメを発信したい。

今はどんどん新しいことをやっていきたいし、自分が表現したいことをアイドルという形でアウトプットできるのはおもしろいと思っているので続けています。

HIЯOさん:
僕も通過点というか、この仕事で売れて自分の名前を使ってお金を稼ぎたい。

プロデューサーという立場でもいいし、アイドルじゃなくても稼げるようにはなりたいなと。

池田さん:
僕まだ決め切れていないです。

楳田:
なるほど。みなさん、やはりメンズ地下アイドルが最終ゴールではないんですね。



HIЯOさん:
でも、メンズ地下アイドルってすごく増えてるんですよね。だから、もしかしたら「メンズ地下アイドルになりたい!」って人も出てくるかもしれません。

去年、「メンズ地下アイドルとファンの関係性」がメディアで露出されたので、いろんな業界の人が「メンズ地下アイドルは儲かるらしい」ってたくさん参入してきたんですよ。

楳田:
たしかに…ファンが惜しげもなくお金をだしてますもんね…そのために「パパ活」をしている方もいるとか…

HIЯOさん:
ただ、僕らはそんな“よくないメンズ地下アイドル業界”からは早く脱したいな、と思っているんです。

「Japan Expo」に呼んでいただいたり、去年は月に25回くらいライブしたりして、業界内で僕らの名はある程度知れ渡ったし、確固たる地位をつくることができた。

だから新しいところに出ていきたいなって。

アヤァさん:
ロックバンドや女性アイドルとの共演を意識的に増やしています。

ほかの業界の人からしたら、メンズ地下アイドルに対する偏見や先入観もあるとは思うんですけど、そういう異業界でも認知度を上げていきたいです。

HIЯOさん:
正直ステージに立つことの意識が低いグループも少なくないので「メンズ地下アイドル」ってひと括りにされるのは不本意なところもありますが、そことの違いを見せるためにもライブでのパフォーマンスを頑張るしかないかなと思っています。

楳田:
なるほど…今日は無粋な質問も多いなか、ありがとうございました!



意外にも(?)真摯にインタビューに答えてくれた「新世紀えぴっくすたぁネ申」の3人。

昨今メディアで取り上げられている「粘膜接触以外OK」というようなゴシップ話ではなく、リアルなメンズ地下アイドル事情を聞くことができました。

今後、地下アイドルの枠から飛び出して活躍していくであろう彼らの真骨頂は、ライブパフォーマンス。

今は月に15回程度ライブをやっているそうなので、興味あればぜひご覧ください!

新世紀えぴっくすたぁネ申(@Epic_hstk_h)さん | Twitter
https://twitter.com/epic_hstk_h
「新世紀えぴっくすたぁネ申」のライブ情報はTwitterをチェック!

〈取材・文=楳田佳香(@tominokoji)/編集=福田啄也(@fkd1111)/撮影=平山尚人〉

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