両サイドバックの佐々木翔と室屋成の良質なパフォーマンスも目を引いた。今回は長友佑都と酒井宏樹の招集が見送られ、絶好の出場機会を得たわけだが、文句なしに活用できるタレントであることを証明。ファーストチョイスになってもおかしくない、そう思わせるほどの安定感だった。とくに右サイドで奏でた室屋と堂安のコンビネーションは円滑で、迫力もあっただろう。

 センターバックの冨安と昌子のペアも、初めて組んだとは思えないほど巧みに連動していた。互いの特長を引き出し合えていた、と表現してもいい。第1ゴールキーパーの争いはハイレベルで興味を引くところ。この日は東口順昭がPKこそ決められたものの、ほぼ完璧に近いセービングを見せて森保監督へのアピールに成功した。

 中島と堂安はやはり同時に両サイドで起用すると、大きな相乗効果をもたらす。コロンビアのような強豪国を相手にしても脅威となれることを実証した。後半途中から登場した乾貴士は痛快きわまりない。ややトーンダウンしていた日本の攻撃にふたたび活力を与えていた。
 香川真司についてはいろんな意見があるだろうが、個人的には及第点以上の出来だったと思う。

 ベンチスタートで戦況を見守り、後半になってから得意のトップ下に配備されて、みずからの責務を全うした。やはり素晴らしいプロだなと感じる。まだ30歳で、言うまでもなく森保ジャパンの近未来を見据えれば重要な戦力。今回合流できたことそれ自体が、ひとつの収穫と捉えていいはずだ。

 圧巻だった前半の内容に比べて、後半はよりコロンビアに主導権を握られてしまったが、それでも日本は最後まで攻めの姿勢を崩さなかった。中島がバーを叩く惜しいミドルシュートを放ったし、基本的には90分間を通して互角に渡り合ったと評価している。

 結果的に連敗となったが、これは親善試合なのだ、負けることだってある。アジアカップからの上積みをさっそく垣間見せてくれただけに、火曜日のボリビア代表戦も実に楽しみだ。

 きっとまた、エンターテインメントに溢れた試合になるだろう。

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著者プロフィール
マイケル・プラストウ/1959年、英国のサセックス州出身。80年に初来日。91年に英国の老舗サッカー専門誌『ワールドサッカー』の日本担当となり、現在に至る。日本代表やJリーグのみならず、アジアカップやACLも精力的に取材し、アジアを幅広くカバー。常に第一線で活躍してきた名物記者だ。ケンブリッジ大学卒。