カーリングチーム「ロコ・ソラーレ」(LS北見)代表理事の本橋麻里が23日、都内で行われた著書「0から1をつくる 地方で見つけた、世界での勝ち方」(講談社刊)の発売記念記者会見を行なった。

同書は、北海道の地方都市から、日本史上初の銅メダルを獲得したカーリング女子のチームを作り上げていった本橋による実践的ビジネス論を収録している。そんな著書を出版した感想を聞かれた本橋は「私が本を出すこと自体、信じられなかったのと、意外にチームのみんなが喜んでくれたのが嬉しかったです」とニッコリ。


内容については「私は3700人しかいない街で育って、それが当たり前の生活だったんですけど、カーリングを通して故郷を1度出て、世界で経験させていただいた中で、自分のバックボーンがある故郷でカーリングをまたしたいと思って戻った経緯や、なぜロコ・ソラーレができたのかというのをこの本に書かせていただいています」といい、「自分の生まれ育った愛する街で、愛情を持って育ててくれた人たちから教わったカーリングをつなげていきたいという意味でも、故郷で今もカーリングをやっている理由を書いているので、選手も田舎の子なので、都会への憧れも少ない子たちだなと思うんですけど(笑)、“故郷から世界へ”というスローガンを叶えることができる場所だなということで、故郷をメインに話のストーリーが沿っているのかなと思います」紹介した。

また、世界で培ってきたものが、同書でも書かれているコミュニケーション術やリーダー論に役立ったか尋ねられると「カッコよくまとめていただいたのでありがたいなと思います(笑)。カーリングは世界的にも進化しているんですけど、日本のスポーツ界での位置付けも変わってきましたし、実際に私が2006年のトリノ(五輪)から2018年の平昌(五輪)に出るまでだと、カーリングという概念が私の中でも変わりましたし、そうさせてくださるスタッフに出会えたからまとまっているのかなと思うんですけど、環境が決してよくなかったカーリングが、今は女子はカーリング選手1本で食べていける選手も増えたことの中で、私は面白い時代を経験させてもらった選手として、コミュニケーション術だったり、マネジメントをしようと思ってしていたわけではないんですけど、振り返りとマネジメントって言ってもらえたりして、カッコよく見せようというスタイルではやっていなかったので、ちょっと照れくさいまとめ方をしていただいたなと思います」と照れ笑いを浮かべた。

さらに、同書の最後にはロコ・ソラーレのチームメイトである吉田夕梨花、鈴木夕湖、吉田知那美、藤澤五月、そして夫の謙次さんからのメッセージが掲載されているが、本橋は「私の自宅に本を送ってくださって、“出来たんだあ”と思ってパラパラとめくっていたら、最後に私が最終原稿をチェックしたときに入っていないページがあって、それを見たときに“あっ!”ってなって、自分でもオリンピックで3位決定戦が決まったときと同じ顔をしていたんだなと思うんですけど、全然知らされてなかったことと、みんながあの忙しい中でいつメッセージを書いてくれたんだと頭の中がグルグルして、最後に主人のメッセージが書いてあって字が汚いなと思って(笑)。オリンピックでメダルを獲った次くらいに衝撃でした」とサプライズだったことを明かし、「私もこの本を出すのに不安があって、せっかくチームでやってきたのに私だけの本になるのが嫌で、結構ギリギリまで悩んでいたんですけど、みんなのメッセージがここに書いてくれたことによって、チームでの1つの本になったのかなと思うので、最後に温かいサプライズがあって、より愛着が湧きました。ありがとうございました」と声を弾ませた。

自身の今後の目標については「1番は(ロコ・ソラーレを)法人にしたので、その理由は選手の環境をよくする。選手自信に選手として希望を持ってもらいたいですし、カーリング界から退くときや、別の世界にステップアップするときに自信を持ってカーリング選手でしたと言ってもらえるような環境を作りたいですし、なるべく長くカーリングを続けられるような状態にしたいなというのは今1番の目標です」と目を輝かせ、現在は選手としては休養中だが競技復帰については「今は法人を立てたばかりで1年に満たないので、そこの土台作りはしっかりして、今、育成をやっているので週4くらいで氷には乗ったりしているんですけど、実際に公式戦となると、今シーズンは考えてないです」と打ち明けた。