「選挙産業がデータ科学者の優良就職先になった」
米国は選挙人登録時の支持政党や投票履歴、職業、年収、住所などの個人に関わる情報が流通している。この名簿をもとに各政党のボランティアが戸別訪問して説得する。なかなか投票には行かないが自党を支持する、潜在的な支持者を掘り起こしている。
同時に「共和党も民主党もお互いの支持者の意見を覆すことは考えていない」と指摘する。SNSでは、個人が自らの意見を補強するように情報を選び、反対意見を排除するように動くためだ。議論は深まらず、不真面目な自党支持者を投票所に連れて行き、相手の支持者の投票意欲をそぐ勝負になっている。
日本では香港城市大学の小林哲郎准教授らがツイッターのデータをAIに学習させ、右寄りや左寄りを表す党派性を4割の精度で推定し、社会の分断化を観測している。小林准教授は「選挙では精度が上がらない中道の人の取り込みが重要になる」と説明する。現状でSNSがどの程度選挙を左右するか計りきれない。だが成功モデルと産業はできた。そして世界に拡散している。
(文=小寺貴之)
