携帯電話の料金は、「10年前」と「現在」で、実はあまりかわっていない?

そうした報道が繰り返されています。
利用者目線でみれば、現在のスマートフォンや携帯電話の料金は高いと感じている人も多く、そのため
・他社へののりかえキャンペーン
・格安SIMへののりかえ
など、少しでもスマートフォン関連の出費を下げようする人も増えています。
確かにテレビCMや店頭の広告では、
・1,980円でスマホが使える
・ワンコインから利用可能
・20GB使っても3,480円
など、格安な料金が踊っています。
こうした状況で毎月、一万円近い料金を払っている人からすれば
「自分の料金は高すぎる?」
と思ってしまう人が増えてしまうのも仕方のないことです。
しかしながら、多くの安い料金は「特定の条件を満たした場合」の話。
通信速度や品質を犠牲に安く提供される格安SIMを除くと、どれだけ安いと宣伝する他の会社にのりかえても、結局毎月払う携帯料金は変わらないことが多いのです。
報道や宣伝から「料金が高い」と思っている人は、
「10年前の料金」と比べて、
今の料金が高いのかと考えてみるといいでしょう。
今回は、その10年前の料金と現在の料金で、どのくらい携帯電話の料金に違いがあるのかを比較していきます。
○10年前と現在、毎月の料金は大きく変わらない?
携帯電話の料金プランは毎年のように新プランが発表され、さらにそれまで提供されていたプランは受付が終了することも多く、10年前と現在で全く同じプランで比較することはできません。
携帯電話料金の中でも金額を大きく左右する「データ定額プラン」について
10年前… 二段階制定額の上限
現在… 20GBの大容量プラン
とし
本体代金… 分割24回
で購入した場合の月額料金を算出しています。

10年前と現在で、どのプランを選択しても確かに高くはなっていますが、2倍以上の料金を払っているかのような言われ方をしている昨今の報道ほどは高くなっているわけではないことがわかります。
現在の料金が高い理由としては、通信料以外に「選ぶ機種の代金」という要因があ」ります。
今回は最新モデルとして「Xperia XZ3」を例に挙げていますが、これが
・型落ちモデル
・エントリーモデル
など、お買得感の高い値付けされたモデルであれば、10年前と現在で料金の差は縮まります。
さらに、10年前の二段階制定額は、
「メールだけの通信でも上限に達する」
ことが多くありました。
このことを考えると、現在の
・20GBの大容量プランから5GB以下の小容量のプランに変更
・メールやLINEを中心とした利用
これで試算すれば、その差は縮まるどころか、10年前の金額を下回る可能性もあります。
つまり、10年前と現在で携帯電話の料金自体は大きく変わっていないと言えます。
○現在の料金は、割高と感じる原因
それでも今現在、携帯電話の料金が高いと言われる理由は
・データ定額プランの容量上限を突破した際に設けられる「速度制限」
・使わない人向けの低価格プランと機種の用意が少ない
これらに要因があると考えられます。
フィーチャーフォン時代の二段階制定額では、
容易に上限料金には達しますが、以降どれだけ使っても速度が制限されるといったことはありませんでした。
一方、スマートフォンが普及して以降のデータ定額プランでは、
「決められた容量以内」であれば定額ではあるものの、容量を超えてしまう分の通信は速度が制限されます。
この制限解除にはデータ容量を追加で購入するため、適切なプランを契約できていない場合は割高と感じていまいます。
さらに現在の大手携帯電話会社のメインはスマートフォンです。
スマートフォンではバックグランド通信など、使っていない間にも通信が発生してしまい「稀にメールするだけ」といった、通話中心で、待ち受けがメインの使い方には不向きになっています。
現在、携帯電話を利用している人からすれば、スマートフォンに買い替えれば、必ず料金が高くなってしまうのは明白です。
このようにスマートフォンを使わずに安く利用したい人にとっては、
・現在のスマートフォン中心の料金プラン
・選べる機種の制限
などから、買い替え=「高くなった」と感じてしまうと言えます。
まるで現在のスマートフォンが値上げしたかのように報じられる昨今ですが、多くの人の場合は、今までと払っている金額について、大きな変化がないのです。
とはいえ、昔も今も、仕方なく料金を高いと思いながら支払っている人が多いことも変わりません。
利用者が納得できる
・プラン
・機種
・割引
これらを拡充させていくことが、国内の携帯電話利用者の満足度の底上げに繋がるのではないでしょうか。
迎 悟