iPhone XSとiPhone XのFace IDスピード対決が公開。暗い場所以外では大差なし?
昨年のiPhone Xで顔認証システムのFace IDが採用されてから、今年で2年目を迎えます。今年のiPhone XSiPhone XS Maxなどに搭載された第2世代は、どれだけ高速化しているのか?

それをiPhone XiPhone XSで動作テストを行って検証した動画を、米Appleinsiderが公開しています。結果はおおむねiPhone XSが上回っていますが「ほとんどの人には、それほど大きな違いはない」という結論が下されています。
Face IDの仕組みは、まずノッチ内のTrueDepthカメラが3万以上の目に見えないドットを顔の上に照射して顔の正確なデータを取り込みます。さらにA11(iPhone X)およびA12Bionic(iPhone XS/XS MaxおよびiPhone XR)チップのニューラルエンジンの一部が数学的モデルに変換し、そのモデルを登録済みの顔のデータと照合するというものです。

このうち「ニューラルエンジンの一部」はSecure Enclave、すなわちパスコードと生体データを保護するアーキテクチャに守られており、あらゆるアクセスを拒否するセキュリティが確保されているわけです。

アップル公式には、2018年モデルのiPhoneは「先進的なSecure Enclaveと新しいアルゴリズムにより、Face IDがさらに速く」と謳われています。つまりA11からA12Bionicに移行することでニューラルエンジンも高速化した上に、アップルのいう「新しいアルゴリズム」と合わせて、かなりのスピードアップが期待できるはずです。

そこでAppleinsiderは、全く同じ照明環境のもとでiPhone XおよびiPhone XSで顔の再スキャンを行い、対等な条件で両者のFace IDロック解除テストを実施。「顔でロック解除をして、ホーム画面のアニメーションが終了するまでの時間」を測定しています。

まず最初のテストでは、iPhone XSが11回勝利、引き分けが4回。たしかに第2世代が一般的に高速であるものの、フレーム単位の違いにすぎず、ほとんどのユーザーがパフォーマンスの向上を実感できるほどではないと示唆する結果となっています。

2回目は、暗い場所で同じテストを行っています。ここではiPhone XSが全勝に終わったばかりか、7回中3回は(明るい場所と比べた場合の)減速を感じさせないもの。新型モデルは暗所に強いという印象です。

最後の3回目は、様々な角度をつけてロック解除をテスト。iPhone Xが少し持ち上げないと顔認証できない角度はあったものの、それ以外は両方ともすべての角度に対して良好に機能しています。

以上のテストを行った上でのAppleInsiderの結論は「第2世代のほうが速くなっているのは事実だが、現実的な状況のもとで、ほとんどの人が大きな違いを感じない程度」とのこと。暗い場所では大きな改善が認められたが、まだ全体的にいうほど速くなっていないとしています。

実際、iFixtによるiPhone XSの分解レポートでもTrue DepthカメラなどFace ID関連パーツの劇的な改善は報告されていませんでした。

先日「2019年にFace ID機能の精度が向上」というアナリスト予測が報じられていましたが、来年モデルでは体感でも分かるほどのスピードアップが実現するのかもしれません。