仕事に活きる人脈がほしい」。そう思う一方で、どうやって広げればいいかわからない、広げすぎても"浅く"になってしまう気がするし…そんな悩みを抱いているR25世代も多いはず。

そこで、10月の特集「私の人脈論」では、ビジネス賢者たちに「人脈」をテーマに取材を敢行。それぞれの個性あふれる“人脈論”を通して、人との向き合い方について改めて見直すきっかけをお届けします。



第2回は、以前「酒が飲めないのに出世した男」として新R25にも登場してもらった、広告会社「The Breakthrough Company GO」代表取締役の三浦崇宏さん

世界的ラッパーのケンドリック・ラマーの広告や、週刊少年ジャンプ×東京メトロのスタンプラリー、安室奈美恵×H&Mなどのクリエイティブを手がけている広告クリエイターです。

人脈がカギを握るであろう広告業界。そこで活躍する三浦さんは、どんな人付き合いのモットーを持っているのでしょうか?

〈聞き手:福田啄也(新R25編集部)〉


【三浦崇宏(みうら・たかひろ)】TheBreakthrough Company GO代表取締役兼PR/CreativeDirector。早稲田大学第一文学部を卒業後、博報堂入社。マーケティング、PR、クリエイティブ部門を経て独立、2017年に株式会社GOを設立

“人脈”という言葉は、人を損得でしか捉えていないように聞こえる

福田:
今回は三浦さんの「人脈論」を教えていただければと…

三浦さん:
人脈なんて言葉を使ってるやつはクソだよね。

福田:
早っ! どうしてですか?

三浦さん:
人脈って、“損得”という一面でしか人を捉えていない言葉だから。

人のことを金儲けの道具としか見ていない。そんなの下品すぎるでしょ。人脈って、地球上で最も下品な言葉だと思うよ

福田:
そこまで言いますか…

三浦さん:
人脈って言葉を使うやつに限って、「この人とつながったらいいことあるかな」とか「この人とつながったら儲かるかな」みたいな顔して近づいてくるじゃん。

そんなやつとは一番関わりたくない。そいつの「名刺だけでも交換させてください」っていうの超意味ないでしょ。

損得で人脈を作るのなんて、マルチ商法のやつだけだよ。


いきなり今回の特集を根底からくつがえす発言

無駄な人間関係なんて存在しない

福田:
それじゃあ三浦さんはこれまで関わってきた人のなかで、付き合いを選ぶことってなかったんですか?

三浦さん:
損得で判断したことはないね。

オレが常々思っているのは、「この人と関わったらプラスになるか」なんてわかんないってこと。その人と5年10年関わってたら、どういうつながりになっているのかなんて想像つかないでしょ。

福田:
確かに…

三浦さん:
独立してすぐのタイミングで超有名アーティストの宣伝をやらせてもらったんだけど、その仕事をくれた人って、もともとただの飲み友だちだったんだよ。

福田:
へえー! その人とはどこで出会ったんですか?

三浦さん:
合コン。

福田:
(仕事とは)全然関係ないですね…

三浦さん:
そう。合コンで仲良くなってから5年くらい付き合いがあって、オレが独立するタイミングで「たまには一緒に仕事してみようか」って言ってくれたの。

それで「いいっすね。どんな仕事ですか?」って聞いたら、そのアーティストの仕事を頼みたいって話になった。

その時まで、彼がそういう仕事をやっているなんて知らなかったんだよ。

福田:
5年も付き合いがあったのに…

三浦さん:
つまり、無駄な人間関係なんて存在しないっていうのがオレの持論。


「今のは結構いいこと言ったんじゃないか?」という顔です

たとえ話が合わなくても、「違う世界の話を面白がる」ことが自分の器を大きくする

福田:
今でも学生時代の友だちと会うことって多いですか?

三浦さん:
結構あるね。高校時代の友だちとは、年に5〜6回は集まるかな。

福田:
学生時代の友だちって、社会人になったら働いている業界や職種がバラバラで話が合わない…ってことありませんか?

三浦さん:
それはない。というのも、どんな人の話からも何かしら学びがあるじゃん。

たとえばこの前、医者の友だちから「精力を付けるバイアグラって、もともとは血行をよくする薬から生まれた副産物だった」っていう話を聞いたの(笑)。なんか企画で使えそうじゃない?

福田:
確かに…僕らのメディアでも何かしらのネタになりそうです。

三浦さん:
オレはよく「公私統合」って言葉を使うんだけど、仕事をしていると、こういう違う世界の「面白い話」が絶対役に立つと思うんだよね。

「公私混同するな」とかいう人もいるけど、思いっきりプライベートの人間関係を仕事に生かしたほうがいいし、仕事でできた知り合いとがっつり仲良く遊びにいったらいいんじゃなかな。

それに、知らない世界の話を「関係ないな」って思うか、「面白い」って思うかで、話の見え方は変わってくる。損得で考えているだけだと、その視野を狭めていると思うんだよね。

いろんな人の生きている世界の面白さをどれだけ見つけられるかが、その人の器の大きさなんだよ。



過去には、“炎上”で周りの人から手のひらを返された経験も

福田:
これまで、三浦さんの人間関係が大きく変わったタイミングってありましたか?

三浦さん:
1回仕事で大炎上したことがあって、敵味方が見事に分かれたことがあった。

これまで散々「三浦のこと応援してるよ」「お前のこういう攻める企画が大好きだよ」みたいなこと言ってた人たちが、炎上したあと「オレはずっと危ないと思ってた…」とか言っててむしろ感心したね。

すっと手の平を返されて、「早いな! お前!」って。



三浦さん:
そういうやつらは、オレがうまくいってるときは近寄ってくるし、オレが失敗したときは離れていく人たちなんだってわかった。

だから近寄ってきたら優しくするし、離れていったとしても落ち込んだりしない。

福田:
ひどい話ですね…

人が離れても凹まなかったのはなぜですか?

三浦さん:
本当に親しい人間だけは変わらなかったし、炎上したくらいで去っていくやつに、気持ちのメモリを割くだけ無駄だって考えかな。



会いたい人こそ、自分から会いにいってはいけない

福田:
今回はさらに、R25世代の僕らが人間関係を広げていくには…という話を聞きたいのですが、どうすればいいと思いますか?

三浦さん:
うーん。若い人って「尊敬する人には、どんな手を使ってでも会う」っていうヤツもいるじゃん?

福田:
そうですね。まずは大物に会ってなんとかチャンスをつかんで…って考えている人も少なくないと思います。

三浦さん:
そこ、オレは逆だと思ってるんだよね

オレがまだ博報堂にいたとき、超優秀で有名な先輩クリエイターが社内にいたんだよ。

5年目くらいの若手ときに、よく周りから「○○さんに一回会ってみなよ」「○○さんを紹介するよ」って言われてたわけ。

でも、オレは絶対自分から会わないようにしてて、そういう紹介も全部断ってた

福田:
チャンスだと思わなかったんですか?

三浦さん:
会うべき人間になる前に会ってもしょうがねえんだよ

相手がオレに頼みごとがあるとか、オレが相手に頼みごとがない限り、会っても何もいいことはない。今でも「○○さん紹介するよ」っていうのは、基本全部断ってる。

福田:
なるほど。ちゃんとした理由がないと、ぼんやりとした人付き合いになっちゃうわけですね。

結局その先輩には会えたんですか?

三浦さん:
一生懸命仕事頑張って、7年目くらいのときにはそこそこ社内で有名になったんだよ。

そしたら本人から「三浦くん。いろいろ話を聞いています。よかったら今度ご飯でも…」ってメールが送られてきた。

福田:
すごい。

三浦さん:
でも、「寿司屋に行きましょう」って誘われて、送られてきたお店の名前を検索したら、石川県の金沢にあったんだよ。「バカにされてるのか?」って思ったね。

でも、結局金曜日に休みを取って、当時はまだ新幹線が通ってなかったから7時間くらいかけて金沢に行った。

現地で合流して一緒に寿司食べてから温泉に入って、朝まで飲んで仲良くなったなあ。


今では三浦さんが仕事の師匠と呼ぶほどの間柄になったそうです

三浦さん:
結局のところ、ファンとして会ったら終わりなんだよ。『BLEACH』の藍染惣右介も「憧れは理解からもっとも遠い感情だよ」って言ってたじゃん。

とにかく、会いたいって思われる人になるしかないよね。

「パーティーは呼ばれるものじゃなくて、開くものだ」


三浦さんが主催した自身34歳の誕生日会。すごい人の数…

福田:
人のつながりを広げるには、自分が仕事を頑張るしかないってことですね。

ただ、もちろん自分の仕事は頑張る前提で、ほかにも人間関係を広げる方法があれば、教えていただけたらうれしいな〜なんて…


「こいつは何を聞いてたんだ」って顔をされました

三浦さん:
これはオレの持論なんだけど、「パーティーは呼ばれるものじゃなくて、自ら開くものだ」っていうのがあって。人間関係を広げたいなら、誰かに呼ばれた場所に行くんじゃなくて、自分で人を呼ぶしかないと思う。

機会を探すくらいなら、自分で作っちゃったほうが早いでしょ?

福田:
でも今、「オンラインサロ」が人気だって聞くじゃないですか。そういうところに入ったほうが楽な気が…

三浦さん:
人に会いたいがためにオンラインサロンとか入っているやつはクソだろ

福田:
(またクソって言われた…)

三浦さん:
そんな“人脈乞食”の集まりには、何も生産性を見いだせない。

それよりは、自分が会いたい人が集まる場所を作ることが大事でしょ。

福田:
当事者でないといけないんですね。

三浦さん:
そうそう。起業家の青木大和君は自分でシェアハウスを作ったし、下着ブランドを立ち上げたハヤカワ五味ちゃんも自分で服屋を開いて、そこに人が集まってきている。若くて優秀な人は、自発的にそういうことをやっているんだよ。

そうすると、同じ気持ちや目標の人間が自然と集まってくる。オレも仕事仲間とゲラゲラ笑いながら仕事してるから、よく友だちと仕事してるって勘違いされるんだけど、逆なんだよね。仕事して友だちになってるんだよ

福田:
なるほど。

三浦さん:
だから、とにかく自分自身が何かの主語になるしかない。徹底的に主語でありつづければ、人のつながりなんて自然と生まれてくるんだよ。

〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉

【4日連続公開】特集「私の人脈論」

明日公開の第3記事目は、現在、SNS総フォロワー100万人超の「モテクリエイター」として活躍する、ゆうこす(菅本裕子)に取材。

「メイク動画」などで女性を中心に人気を博すだけではなく、ここ最近は、堀江貴文さん、家入一真さんをはじめとする大物起業家と対談するなど、さまざまな人脈を作りはじめている彼女。

そんな若きインフルエンサーに、「人脈論」について伺ってきました。



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