情熱は訴訟ではなくソリ開発に注ぐ…下町ボブスレー再始動
黒坂氏は「五輪はあくまで最終目標。2022年の北京五輪挑戦は明言しない。五輪に出るソリではなく、“乗りたいと思ってもらえるソリ”を目指す」と意気込む。
下町PJは大田区で内部に金属部品が多く使われているソリを製造し、五輪で乗ってもらい、技術力をPRする目的で立ち上がった。五輪出場は実現していないが、参加企業のPRにはつながった。
元副委員長の西村修エース(同)社長は「本業で作るモノは具体的なイメージがわきにくい。ボブスレーならソリを指さして“これを作っているんだよ”と言える。PRにつながった」と語る。名刺にロゴを入れているだけで取引先や金融機関との話の種になった、という企業も多い。
また下町PJは技術力向上にも一役買った。下請け企業は特定の会社が作る図面しか見る機会がない。大肯精密(同)の大崎和夫社長は「いつもと違う図面を見て、作り方を検討することは、技術力向上につながった。若手社員にはいい刺激」と話す。実際に加藤研磨製作所(同)や上田製作所(同)では、ボブスレーの部品製造は段取りから仕上げまで、全てを若手に任せて教材にした。
新生・下町PJは、部品を作る協力企業を大田区に限らず、全国から歓迎する。以前は区外企業の参加は原則不可だった。黒坂氏は「手伝いたいという企業はあったが、断っていた。今後は受け入れて、アイデアと視野を広げたい」と笑顔だ。
三陽機械製作所は、9月に山形県米沢市で工場を完成させる。地元につながりができるので、賛同する企業があれば協力してもらうという。また大田区には全国に協力企業を持つ企業が多い。興味を持っている企業に声を掛け、ネットワークを広げる構えだ。
