(左から)新日鉄住金の進藤孝生社長、日新製鋼の柳川欽也社長、NSSCの伊藤仁社長がそろって事業統合への意気込みを表明(5月16日、都内での会見)

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鉄鋼関連業界で再編の動きが、一段と活発化してきた。新日鉄住金がグループ内の事業再編やM&A(合併・買収)を矢継ぎ早に打ち出すなど、鉄鋼メーカーや鉄鋼流通業者の合従連衡が急速に進んでいる。人口減少に伴う内需先細りへの危機感と、新興国を中心とした外需の伸びに対する期待感が、各社を事業体制の再構築へと突き動かしている。

「人口減少や自動車の軽量化、電動化に向けた動きなどで製鉄事業は構造変化の転換点にある」。新日鉄住金の進藤孝生社長は5月中旬に開いた緊急会見で、事業構造改革が待ったなしの状況にあるとの認識を示した。

この会見で同社は株式を51%保有する日新製鋼を、2019年1月に完全子会社化する方針を表明。併せて新日鉄住金本体と日新製鋼のステンレス鋼板事業を、同年4月に100%子会社の新日鉄住金ステンレス(NSSC)へ一部またはすべて移管し、統合する計画を打ち出した。

3社のステンレス鋼板の国内シェアは冷延薄板で推計6割強に達するが、生産量は年間180万トンと世界最大手の青山鋼鉄(中国)の800万トンに水をあけられている。事業統合で技術やコスト競争力を磨き、世界の強豪に対抗するとともに、環境変化への適応力を高める狙いだ。

新日鉄住金の事業再編はこれだけにとどまらない。溶接ステンレス鋼管でも19年4月をめどに、グループ4社の事業統合や合併に踏み切る。特殊鋼事業ではスウェーデンの有力メーカー、オバコを買収したのに続き、持ち分法適用会社の山陽特殊製鋼を19年3月に子会社化し、オバコを山陽の傘下に置く新体制を決めた。各社の技術や製造基盤、販売網を生かし、ニーズの高度化やグローバル化の動きに対応する。

新日鉄住金は成長が見込まれる新興国市場の開拓でも、M&Aを重要な戦略と位置付ける。インドの鉄鋼業界4位で、経営再建への法的な手続きを進めているエッサール・スチールの買収に向け、地元の裁判所による入札に世界最大の鉄鋼メーカー、アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)と共同で応じた。

インドではインフラ関連を中心に、鉄鋼需要の大幅な伸びが見込まれる。エッサール買収は成長市場開拓への足がかりとなり、海外展開に弾みがつく。

エッサールの買収にはJFEスチールが出資するインドの鉄鋼最大手、JSWスチールもロシア系企業と共同で名乗りを上げた。応札はJSW独自の経営判断だが、落札すればJFEスチールにとってもアジア市場の深耕に向けた布石となる可能性がある。JFEスチールの柿木厚司社長も「国際競争の舞台では一定の規模が必要になる。外部との提携やM&Aは将来的にあり得る」と事業体制の再編に前向きだ。粗鋼生産量で世界全体の半分を占める中国の鉄鋼業界でも再編が進み、今後は価格に加えて品質や性能の面でも競争力が高まってくると予想される。中国勢を含む国際競争が激しさを増す見通しの中で、国内鉄鋼メーカーの事業再編やM&A投資も一段と熱を帯びそうだ。