シェアラボに導入された装置(NIMS提供)

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 大学や国立研究開発法人を民間の計測器メーカーがオープンイノベーションラボやアンテナショップの様に活用する産学連携が広がりつつある。材料研究者にとって計測装置の更新は死活問題だった。高度な計測技術をもつ研究機関にとっては、場を提供すると最新の計測装置が整備され、自身たちの研究にも活用できる。

 物質・材料研究機構と日本電子、オリックス・レンテックの三者は、多機能電子顕微鏡を複数社でシェアリングする「オープンラボプログラム」を始めた。まず物材機構がオリックス・レンテックから電子顕微鏡「JEM-F200」をレンタル形式で導入し、同時に電子顕微鏡を利用したい企業を8社集めた。各社から年間利用料として351万円を集めてレンタル費に充てる。装置の定価は約2億円。6年程度で支払いを済ませる計算だ。

 物材機構はJEM-F200を運用管理し、併せて原子分解能電顕2台や集束イオンビーム走査型電顕(FIB-SEM)1台を参画企業に提供する。FIB-SEMで試料を削り、観測断面を作るなど計測ノウハウを提供する。装置の利用枠は年間で10枠に分割し、8枠は参画企業に、物材機構は2枠を使って自らの研究を進める。

 参画企業にとってシェアリングは格安で最先端装置を試せる。物材機構と分析方法を確立したら、社内にも装置を導入する。オリックス・レンテックは計測装置の中古市場を開拓する。オープンラボ3年目でJEM-F200に買い手がつけば、定価の半額で販売できる。物材機構の小出康夫理事は「日本初の産学連携システムになる」と説明する。

 日本電子の岩槻正志副社長は「さまざまな材料を扱う物材機構だからこそ計測のアプリケーション開拓が進む。この産学連携モデルをバイオ材料などにも広げたい」と期待する。

 物材機構はアメテックCAMECA事業部と「NIMS - CAMECA 3DAPラボ」を立ち上げた。材料中の元素の立体配置を計測する三次元アトムプローブ(3DAP)を物材機構に設置し、同時にユーザーコンソーシアムを立ち上げた。

 コンソーシアムで技術講習会を定期開催し、専任のオペレーターが試料作製や解析などの技術指導をする。装置の販売予定価格は約2億5000万円。物材機構との共同研究で成果を公開する場合は無償で利用できる。成果を公開しない場合は装置の利用度に応じてコンソーシアムとして協力金を徴収する。

 計測装置メーカーにとってアプリケーション開拓とユーザー育成は重要な課題だ。研究機関に装置を提供して、幅広い材料への応用開発が進めばユーザーが増える。ユーザーの間で計測ノウハウが共有されれば、論文を読んで試行錯誤するよりも早く普及すると期待される。宝野和博理事は「参加者が広くウィン-ウィンになる」と強調する。