増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

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1.口説くおっさん
自分はおっさんでもそんな勇気がないので伝聞で書いてみますが、40どころか中には50過ぎた、いい年をしたおじさんで女性を口説く人がいるということです。しかしながらすべてのおっさんが「地方のドン・ジョヴァンニ」とか「資産○○億社長」という訳ではなく、それどころか奥さんからもらう微々たるお小遣いで昼めしにサラダ付けるか、美容と健康と小遣いの狭間で苦悩したあげくに間をとって¥70のオシンコにしとこうという苦渋の決断を日々送っているような人で、若いおねーちゃんを口説く人を指しています。

こうなりますと自家用ジェットで芸能人カノジョを連れまわしたりとか、1本何十万のワインを飲む店に連れて行くこともできませんし、アルマーニのスーツ(←自分の富豪イメージが貧相すぎて号泣)も着てません。何より頭髪もお腹も不自由になりつつあるお年頃で、およそ桐谷美玲ちゃんと結婚するうらやましい俳優さんとは比べ物にならない立場な訳です。

そもそも勝負はついていると思うのですが、バブル下でナンパなど鍛えた根性はダテではありません。また草食系のワカモノが何もせず指をくわえている中、おっさんでも熱心に口説いてくる人にほだされるおねーちゃんもいるらしいという、実話週刊誌のOL体験告白のページを信奉します。

だけどお金はないし、見た目もくたびれたただのおじさんだしという時、「素のままの自分を見て、愛してほしい」と思うのです。

何か自分で書いてて不憫で目から水が出てくるなー、今日は。でも、ちょっと待って。奥さんから小遣いもらってるのに?ダメじゃん、おっさんたち。そもそも。

2.学生の志望
と、ここまではあくまでSFで空想でお送りしました。だから全然リアリティない。でしょ?(ケン・渡辺風)

ところで学生の就職先進路です。

大学生といっても文系だけではなく、理系学生の場合、専門分野とのつながりで就職が楽、引っ張りだこという説があります。これは間違いではありませんが、絶対的真実でもありません。ここでいう「理系」は厳密には工学系の、実学連携が太い機電情(機械・電機・情報)や、医学薬学はもちろん、保健系(看護・医療資格系)を指します。

しかしすべての理系がこの分野だけなはずがなく、特に基礎系と呼ばれる分野は昔から就職で苦労するといわれます。理学系(数学や物理学ほか生物や地学、一部農学等も)などが代表ですが、これまた今は必ずしもそうとはいえません。特に数学系物理系などは情報系人材がひっ迫しているところから、有名大学の学部や大学院生なら、かなり有利な就職状況になっています。

そして理系だけでなく、文学や社会学など文系でも、就職ではそれなりに苦労する分野はあります。ちなみにひとところのような「文学部は就職が無い」説は、少なくとも上位校ならほぼ当てはまりません。いくらでも求人は来ています。

3.欲望か妥協か
まじめに勉強している学生には失礼なたとえかも知れませんが、おっさんの口説きと選択肢が少なめな学生の志望には共通項があるといえます。需給バランスです。絶対的に不可能というような、白か黒か、ゼロか100かの選択ではなく、自分の希望をそれに応える相手の存在のバランスで成り立つ希望ということです。

自分の目指すものや仕事、お付き合い、すべて自らの都合です。それに相手が応えるかどうかを見極め、現実的選択に収斂されていくのです。現実感のない欲望をおっさんが振り回しても、残念ながら応えてくれる人はいない可能性は高いでしょう。

モテたかったらものすごい努力してIT社長になるとか、あるいは自分自身が岡田真澄や草刈正雄並みの容姿を目指すとか、その願望実現への努力は欠かせません。それ抜きに「素の自分を好きになって」というのは手を抜きすぎ。ドン・ジョバンニではないただの中年男に寄って来る人はなかなかいないことでしょう。

自分の志望先が無いとか、希望する先がきわめて限られた数しかなく現実的に選択肢が足りないと感じている若者諸君。自分の希望をストレートに叶えるだけでなく、その希望に近付く努力は欠かせないのです。そして多くの人たちはそうした努力を限られた時間(在学中の就活期間)では無理と判断し、現実にできる選択を進んでいます。

夢をあらめる必要は全くありません。新卒の就活期間だけで夢が決まる訳でもありません。本意ではない勤め先でも、すごいがんばって成果を出したり上場会社を興せば、あなた方だっていつか夢はかなうでしょう。社会人になっていくというのは、こうして現実と夢のバランスを取っていく過程のように感じます。