ところが、全米自動車工業会(AAM)の試算では、通商拡大法232条に基づいて25%の追加関税が課せられた場合、1台当たり平均で5800ドル(約64万円)、全米自動車ディーラー協会(NADA)は6000ドル(約66万円)価格が上昇すると試算しています。ハーレーダビッドソンが海外生産に切り替えざるを得なかったのも当然と言えるかもしれません。

 こうした報復関税は、共和党のトランプ政権を支えている議員の地元を狙い撃ちして行われており、トランプ大統領が正式に25%の追加関税を課す期限となる7月6日まで、何らかの解決策を見いだせるかが注目されています。

 ――一方、トランプ政権はイランの原油輸入を停止するように求めていますが?
 
 トランプ政権が、協調減産を続けているOPEC(石油輸出国機構)を批判する一方で、イランに対する制裁強化の一環としてイラン産原油の輸入を停止するように同盟国に対して求めている政策は、原油価格の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の価格を1バーレル65ドル前後から、一気に74ドル台までに引き上げました。
 
 日本にとっては、イラン産原油は輸入量全体の5%程度ですが、これまで一貫してイランから原油輸入を継続してきた日本政府にとって、今回のトランプ政権が打ち出した方針はエネルギー政策の転換を求められると言っても過言ではありません。

 米国はシェールオイルの増産などで原油の高騰に対抗する姿勢を見せていますが、3年9か月ぶりの原油高は今後の金融市場に影響を与えると思われます。
 
 ――7月相場のポイントと予想レンジを教えてください。

 まず、7月6日に発表される米国雇用統計がありますが、大きな影響はないと思われます。ただ、米国のGDPは堅調であり、長期金利は2.8パーセント程度で推移しています。対して2年物国債の金利は2.5%程度まで上昇してきており、長短金利のバランスを示す「イールドカーブ」が徐々にフラット化してきています。万一、短期金利が長期金利を上回る超短逆転の「現象」を示すと、景気後退の方向に向かう可能性が出て来てしまいます。そういう意味では、米国の金利に注目すべきだと思います。

 一方、欧州中央銀行(ECB)は量的緩和政策として9月まで月額300億ユーロ(約3兆9000億円)を続け、10月以降は半額の150億ユーロに減額し12月末までに終了すると発表しました。利上げの時期は早くとも来年の夏以降という発表もあり、加えてイタリアの政局不安や米国による保護主義の動きなどでユーロは売られています。こうした点を考慮すると7月の予想レンジは以下の通りです。