トランプ政権、輸入制限発動。強硬な通商政策加速も
米国は23日に鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を発動する。鉄鋼に25%、アルミに10%の新たな関税を課すことで貿易赤字を削減する。
貿易赤字を国の損失とみなすトランプ米政権は、鉄鋼・アルミの輸入増を「安全保障上の脅威」と位置付け、米国の雇用を守る輸入制限を講じる。日本の対米輸出は高級鋼材のため代替が難しく、影響は軽微との指摘もある。ただトランプ米政権は自動車や農畜産物の市場開放をかねて日本に訴えており、市場開放圧力が強まる懸念が残る。
トランプ氏の強硬な通商政策は今後、加速する可能性が高そうだ。鉄鋼などの輸入制限に加え、中国の知的財産権侵害をめぐり、通商法301条に基づく制裁措置が週内にも打ち出されると米メディアが報じた。鉄鋼・アルミに続く中国への制裁が実現すれば、堅調な世界経済にも少なからぬ影響を及ぼす事態に発展しかねない。
米国の輸入制限の今後の進展や影響については、専門家でも見方が分かれる。
三井物産戦略研究所国際情報部北米・中南米室長の山田良平氏は「今回の輸入制限によって世界貿易機関(WTO)を無視したいわゆる“貿易戦争”のような事態にはならないと思う。WTOにのっとって提訴や報復措置等を行うだろう」と予想する。たとえ米国がWTOの裁定などに不満を持ったとしても「WTO離脱は議会の承認が必要なため現状ではあり得ない」と説明する。
さらに輸入制限は「共和党議員からも反論が出ており、米議会は良識を示した」と評価。ただ「大統領の手足を縛るほどの動きは見せておらず、腰が重い」と、トランプ氏の政策に懸念は示しつつも覆すまでには至っていないと見る。
ただ、別の専門家は各国がWTOを無視する可能性を危惧する。さらに今回の輸入制限が問題なしと判断されれば、各国が関税引き上げに動くのではと懸念する声もある。
(文=神崎正樹、吉田周示)
