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もくじ

どんなクルマ?
ー 6代目カマロ 2017年のマッスルカー
ー V8 NAを継続 先進テクノロジーも

どんな感じ?
ー マッスルカー ふたつの条件とは
ー 操舵感/乗り心地は不満 キャラは強く

「買い」か?
ー 現代のマッスルカー マスタングより良

スペック
ー シボレー・カマロのスペック

どんなクルマ?

6代目カマロ 2017年のマッスルカー

6代目シボレー・カマロは、磨きのかかった正真正銘のマッスルカーである。スペックをして、そういえるのである。

このカマロは、2.0ℓターボ・エンジン搭載車をラインナップすることも特徴だが、1966年のオリジナルへの称賛の本命は、なんといっても6.2ℓV8搭載車である。

時間の経過とともに磨かれたマッスルカーの流儀に忠実であるが、同時にこのクルマは、歴代のカマロの中でも最も先進のテクノロジーをまとったクルマでもある。

ボディは先代モデルと比べて91kg軽量化され、28%剛性を高め、ハイパフォーマンスカーの土台としてより適切なものとなった。

バネ下荷重を低減するために、サスペンションはアルミニウム製の部品で構成されている。プラットフォームは、キャデラックATSやCTSサルーンと共有するが、メーカーによると70%の構成部品はカマロ専用であるという。

リアサスペンションは、ライブリアアクスルに代わりマルチリンクを装備している。試乗車にも搭載されていたが、マグネティック・ライド・コントロールの設定もある。コーナリングを機動的に行えるように、選択できるドライブモードやブレーキを使ったトルクベクタリングも備わる。

エンジンについても見ていこう。

V8 NAを継続 先進テクノロジーも

このカマロは、パフォーマンスカーに求められるテクノロジーを満載したクルマであるが、鼻先に収まるエンジンはとても古典的。453psのパワーと62.9kg-mのトルクを発生する6162cc自然吸気V8エンジンである。

カマロに搭載されるエンジンは、ハイブリッド化はおろかダウンサイジングやターボ化といった、ヨーロッパ車のトレンドを追うことなく、可変バルブタイミングやダイレクト・フューエル・インジェクションといった機能を追加することで磨きを掛けている。しかし、それは貴方が想像するような、古典的な暴れん坊というわけではない。

その証拠に、オート・プリッピング機能付きの6速マニュアルではなく、8速オートマティックを選べば、燃費向上のため、通常の走行時には4気筒を休止する機能も持ち合わせている。

疑いようのないマッスルカーであるが、しかし、いってみれば、21世紀のマッスルカーである。3万9040ポンド(592万円)の価格帯において、同国のライバルはフォード・マスタングやダッジ・チャレンジャーが挙げられ、もう少し奮発すれば、小さく、軽量で、パワーも劣るが評判のいいBMW M2も射程圏内である。

どんな感じ?

マッスルカー ふたつの条件とは

マッスルカーの1番目の定義が、V8エンジンを搭載することであれば、2番目は、安っぽいインテリアを持つことであろう。少なくとも、この定義は過去50年間マッスルカーに当てはまっていたのである。

恐らく、このカマロは、マッスルカーと呼ばれるクルマで初めて建てつけが良く、プレミアム感が感じられるコックピットを持つ。マスタングのように、プラスティック製のパーツは薄っぺらではないし、全体のデザインも単純に古典趣味的ではない。

ただ、外寸を考えるとリアシートのレッグルームの狭さには驚かされる。しかし、フロントの搭乗員には巨大な車内スペースにゴージャスなシートが奢られる。マッスルカーは、長距離走行におけるスピードと快適性を追求してきたが、このカマロも例外ではない。

また、このカマロのステアリングは、遅くも鈍くもなく早く、そしてとてもダイレクトなのである。最新の電動ステアリングがそうであるように、シャープで正確ではあるが、同時に、伝わってくるインフォメーションに乏しい。中速コーナーでは、フロント・タイヤのグリップがどの程度あるか探る必要があるだろう。

操舵感/乗り心地は不満 キャラは強く

俊敏でレスポンスのよいステアリングは、ターンイン時に若干の問題を引き起こす。何故なら、このカマロは先代に比べて軽量とはいえ、それでも1659kgもあるのである。

コーナリングの初動で、人工的な神経質さを感じる。その挙動がクルマ全体を従わせてしまうことにより、結果的に不自然な挙動を生み出すのである。俊敏でレスポンスのよいステアリングと表現するジャーナリストもいるのだろうか。わたしはシャシー全体とのマッチングはよくないと思った。

でもこれは、洗練されたスポーツカーのなかではあまり多くみかけない、アメリカン・マッスルカー的特徴が未だ存在するともいえるのだろうか。道路では未だとても大きなクルマに感じられ、人馬一体というよりも車体の挙動に合わせる運転を強いられる。相当な高速域であっても、である。

流体磁性ダンパーをもってしても、路面の変化によって車体は上下に大きく振れる。しかしそれは、しなやかさや緩さを意図しているわけでもない。つねに突きあげに悩まされるわけではないのだが、急な段差やくぼみではドスンという衝撃が車体全体に響く。

とはいえ、(独自であるが)キャラクターのハッキリとしたクルマであることは認める。それは、ボンネットの下に6.2ℓのV8エンジンがあるからという、単純な理由だけではない。

努力を必要とせず速く感じられ、当然トルクはリッチであり、サウンドトラックはまごうことなき暴れん坊のV8である。その排気量からは想像できないが、こ6500rpmのレッドラインまで、猛烈に一気に回るのもいい。

8速オートマティックはスムーズであり、躾が行き届いている。しかし、パドルで行うマニュアル・シフトに関しては、トラックモードであっても、変速ラグが存在する。

「買い」か?

現代のマッスルカー マスタングより良

イギリスの愛好家達は、このカマロを正規代理店から購入することができるようになった。しかし、最新のマスタングと異なり左ハンドルのみの選択となり、このことが問題になるかもしれない。

もしあなたが、純粋でモダンなマッスルカーを現代でも運転したいのであれば、この6.2ℓV8を搭載するカマロは、多くのひとを魅了するはずである。

そして、このクルマのパッケージは、フォード・マスタングのそれよりも、魅力的なのである。

シボレー・カマロのスペック

■価格 3万9040ポンド(592万円) 
■全長×全幅×全高 4780×1900×1340mm 
■最高速度 290km/h 
■0-100km/h加速 4.4秒 
■燃費 9.0km/ℓ 
■CO2排出量 252g/km 
■乾燥重量 1659kg 
■パワートレイン V型8気筒6162cc 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 453ps/5700rpm 
■最大トルク 62.9kg-m/4600rpm 
■ギアボックス 8速オートマティック