写真:ヤナガワゴーッ!

 2003年に引退した貴乃花の最後の対戦相手ーー。当時24歳だった安美錦(39)は15年近くたった今も、世代交代といわれるなかで土俵に立ちつづけている。

「もともと、若手が出てきて淘汰されていく世界。若手が出てくるのはいいことだよ。もちろん自分にも『まだ負けないぞ』という気持ちはある。でも、阿武咲のお父さんが俺と同い年だって聞いたときはさすがに引いたね(笑)」

 約18年間、関取の地位を守りつづけてきた。幕内在位94場所は歴代4位。輝かしい経歴を誇る最年長関取が、最大の危機を迎えたのは2016年五月場所。左アキレス腱の断裂。翌場所も全休し、12年ぶりに十両に陥落した。

「さすがに引退も考えた。それを乗り越えられたのは家族の支えがあったから。妻が一生懸命やってくれてね。子供の世話だけで大変なのに、俺まで面倒かけちゃって。そういう姿を見てると、なんとかその気持ちに応えたいって思った」

 幕下陥落瀬戸際の2016年九月場所で復帰。稽古はできず、怪我も治っていなかったが、ベテランの技でなんとか千秋楽に勝ち越しを決めた。それからは徐々に怪我も回復、2017年七月場所から連続2桁勝利で、九州場所での幕内復帰を決めた。

「少しずつ、怪我をする前の感じに戻ってきてはいる。でも、まだまだだね。やっとここ(幕内)まできた。九州で負け越せばまた十両に逆戻りだから、一番一番しっかりやるだけだよ」

 目指すは三役復帰(最高位は東関脇)。そして “結びの一番” を取ること。

「結びで相撲を取ってる姿を家族に見せてやりたいんだ。それが、俺を支えてくれてる家族へのお返しっていうかね」

 2013年に絵莉夫人と結婚。同年長女、2015年に次女、2017年7月には長男が誕生。

「この前、息子のお尻を拭いてやろうとしたらピューッておしっこかけられちゃったよ(笑)。家にいる時間は短いし、幼稚園の行事にも参加してやれない。本当は通園路に立って、旗持って『気をつけてな』とかやりたいんだけどね」

 九州の宿舎には、アスリートフードマイスターの資格を持つ夫人が作った料理が届けられるという。角界のレジェンド、“家族愛” パワーでまだまだ気張る。

あみにしき
1978年10月3日生まれ 青森県出身 184センチ142キロ 伊勢ヶ濱部屋 1997年1月初土俵。三賞11回。金星は8個。技巧派、業師と呼ばれ、きわどい相撲が多いことから「行司泣かせ」の異名
(週刊FLASH 2017年11月14日号)