会話が生活を向上させる?スマートスピーカーLINE 「Clover WAVE」の可能性と今後の課題

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LINEのスマートスピーカー「Clover WAVE」が2017年10月5日より正式発売された。
同社 取締役 CSMO 舛田淳氏は、
「スマートフォンの時代の次は、スマートスピーカーの時代が来る」
と語るほど、業界でも注目を集めているデジタルガジェットだ。

海外では、Amazonが先行発売しており、年内にも日本発売される予定だ。また、Googleも「Google Home」を2017年10月6日より発売し、「Google Home Mini」も2017年10月23日より発売する予定だ。さらにソニーも国内で発売したい旨を表明している。

Strategy Analyticsの調査では、2017年のスマートスピーカーの出荷台数は全世界で2,400万台と見込まれており、まさに市場での競争がスタートを切った状態だ。

今回は、期間限定モデル「Clover WAVE」で、スマートスピーカーの可能性と課題をみてみよう。


■「Clover WAVE」を設定する
「Clover WAVE」のボディは先端がない円錐形。オーディオスピーカーでよく見られる布で覆われている。
本体サイズは86.25×139.84×201.05mm、重さは998gなので、どこでも手軽に持ち運ぶことができる。



「Clover WAVE」のボディは先端がない円錐形


側面には、マイクのON/OFF、電源ボタン、電源端子が見える。「Clover WAVE」では、マイクが常時ONになっているため、OFFにすることで、日常会話を音声コマンドと勘違いする動作を防ぐことができる。


マイクのON/OFF、電源ボタン、電源端子


本体上部には、
・スタンバイボタン
・ショートカットキー
・ボリューム+/−
・一時停止/再生
などのボタンが用意されている。



「Clover WAVE」の本体上部のボタン類


「Clover WAVE」のセットアップは非常に簡単だ。
・ClovaアプリをiPhoneにインストール
・Clovaアプリを起動後、画面の指示に従う
これだけで、セットアップは完了だ。

「Clover WAVE」を利用するには、LINEアカウントが必要となるのだが、スマホなどで利用している個人アカウントではなく、「LINE家族アカウント」というClova専用アカウントを利用する。
これは、個人のプライバシーを守るための配慮だ。

たとえば、
会社での宴会後、部下の異性からお礼のメッセージが個人のLINEアカウントに届いた場合、
「Clover WAVE」で自分のアカウントで利用していると、家族のいる中でLINEのメッセージを読み上げられてしまう。メッセージの内容によっては、誤解や疑いを持たれないとも限らないからだ。
また、仕事に関係する情報が含まれていると、情報漏えいの心配もある。

こうした家族といえども、守秘が必要な情報もあるため、家族全員が聞くことができる「Clover WAVE」の音声トークには、「LINE家族アカウント」を使うことは必要な機能というわけだ。



ClovaアプリをiPhoneにインストール後、画面の指示に従えば、セットアップは完了だ


■「Clover WAVE」を使う
「Clover WAVE」は、AIアシスタント「Clover」によって、呼びかけに応対する音声トークや家電などの管理機能により新しい生活を実現する。

使い方は、簡単で、
「Clover(クローバ)」と呼びかけた後、何か話し掛ければよい。

〇トークでLINEメッセージを送る
あなた      「パパにLINE、送って」
Clover WAVE  「パパさんですね。メッセージ内容をどうぞ」

あなた      「ケチャップ、買ってきて」
Clover WAVE  「ケチャップ、買ってきてと、送信しますか?」

あなた      「はい」
Clover WAVE  「送信しました」

〇音楽を聴く 
あなた      「何か音楽を再生して」
Clover WAVE  音楽を再生する

あなた      「この曲の曲名を教えて」
Clover WAVE  「〇〇の××です」

あなた      「音楽を消して」
Clover WAVE  音楽を消す

あなた      「歌を歌って」
Clover WAVE  「人前で歌うのは何だか恥ずかしいですね」

あなた      「ハッピーバースデーを歌って」
Clover WAVE  「私の誕生日をお教えしていたでしょうか」

〇トークで時間を聞く
あなた       「今、何時?」
Clover WAVE   「15時19分です」

〇トークで天気予報を聞く
あなた       「今日の天気を教えて」
Clover WAVE   「本日、15日の東京都〇〇区の天気は雨でしょう。最高気温は16度。最低気温は14度の予想です」

〇トークで占いを聞く
あなた       「今日の運勢は?」
Clover WAVE  「てんびん座の今日の運勢は、出会いの縁あり。一目ぼれして舞い上がってしまうかも。仕事の進め方を見直すと、人間的な成長に繋がることも。ということです。ラッキーアイテムはハンカチ。ラッキーカラーはパープル。ラッキースポットはブランドショップです」

〇トークで料理の作り方を聞く
あなた       「マカロニグラタンの作り方を教えて」
Clover WAVE   「それについて、今はわからないんですけど。勉強しておきますね」

〇トークでWikipediaを調べてもらう
あなた       「スティーブ・ジョブズって、誰?」
Clover WAVE   「Wikipediaによると、スティーブン・ポール・“スティーブ”・ジョブズは、アメリカ合衆国の実業家、資産家、作家、教育者です」

あなた       「ビル・ゲイツって、誰?」
Clover WAVE   「Wikipediaによると、ウィリアム・ヘンリー・"ビル"・ゲイツ3世は、アメリカ合衆国の実業家、慈善活動家、技術者、プログラマ、作家、教育者です」

Clover WAVEと会話してみる
あなた       「早口言葉を言って」
Clover WAVE   「早口言葉ですね。東京特許許可局」
「早口言葉ですね。除雪車、除雪作業中」

あなた       「しりとり、やろう」
Clover WAVE   「それでは私から。LINE。あ、しまった」

〇アラーム・タイマーをセットする
あなた       「明日の7時にアラームを設定して」
Clover WAVE   「セットしました。アプリでご確認いただけます」


「Clova WAVE」のスピーカーは低音用20Wウーファ×1、高音用5Wツイーター×2を搭載している。
Bluetooth接続すれば、iPhone内の音楽も再生可能だ。

音声トークや音声コマンドは、基本的な会話やコマンドはClovaアプリで確認することができる。
答えられない内容については、「Clover WAVE」は「それについて、今はわからないんですけど。勉強しておきますね」と返してくる。
こうした回答を返答できないケースは、AIアシスタントが今後、学習して進化していくことで、回答できるようになっていくものと思われる。

動作についても、「Clover WAVE」からの音声が聞こえなくなるトラブルなども起きたのだが、電源を入れ直すことで回復した。こうした動作についても、今後のアップデートで、適宜、改善されていくことだろう。


■テレビを音声で操作する
「Clover WAVE」で、テレビを音声で操作するためには、テレビのリモコンをあらかじめ登録しておく。
Clovaアプリを起動したら、「音声リモコン」を選択後、「テレビリモコン」で「追加」ボタンをタップする。

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主要なテレビメーカーが一覧で表示されるので、メーカーを選択しよう。
アプリ画面上の電源ボタンをタップして、テレビが反応したら、「はい」をタップしよう。
反応しない場合には、「いいえ」をタップして、テレビが反応するまで繰り返す。




〇テレビを操作する
「テレビをつけて」
「テレビを消して」
「テレビのチャンネルを変えて」
などの操作ができる。

ただし、現段階では、テレビを操作する音声コマンドが限られている。
機能的には、テレビのリモコン全ての機能を使うことはできない。
とはいえ、料理などで両手がふさがっているときにテレビの電源のオンオフやチャンネル変更したいケースなどでは便利だ。

筆者の自宅のテレビも対応していたことから、問題なく登録できた。
しかし、仮に登録できなかった場合の対策は、今後の課題だろう。
たとえば、赤外線リモコンの学習機能をサポートするなどの機能強化にも期待したい。


ソニーのテレビ「BRAVIA」を音声コントロールすることができた



○照明をコントロールする
Clovaアプリを起動後、「音声リモコン」を選択する。
「照明リモコン」で「追加」ボタンをタップしてみたところ、次のメッセージが表示された。
「音声で照明を操作できる赤外線リモコン機能は準備中です」とのこと。
こちらは、今後のバージョンアップ待ちというところだ。





筆者は「Clova WAVE」を、LINE MUSICの音楽を聴くデバイスとして主に使っている。
また、外出前に「今日の天気は?」といった具合に、天気を手軽にトークで聞ける機能もかなり便利に感じている。

現在の「Clova WAVE」ができることは限られているが、
・ラジオ(radiko.jp)
・話者認識(父・母・子ども)
・翻訳機能(日本語、英語、韓国語、中国語)
・経路検索
・運行状況
・フードデリバリー
・日常品のショッピング
・童話の朗読
・タクシーとのサービス連携
などが、今後のソフトウェアアップデートで追加される予定だ。

今後、機能化される予定なので、ソフトウェアバージョンアップに注目したい。


ITライフハック 関口哲司