先のW杯に出場したU−20日本代表が、再び招集されている。7月19日開幕のAFC U−23選手権予選に出場するためだ。

 今回のチームは、先のU−20W杯の主力を欠く。

 オランダ・エールディビジのフローニンヘンへ移籍した堂安律、ガンバ大阪で出場機会を増やしている初瀬亮、FC東京のトップチームで練習を積む久保建英らが招集されていない。湘南ベルマーレの杉岡大睴、アビスパ福岡の冨安健洋、京都サンガの岩崎悠人らも、J2は中断期間がないためにリーグ戦が優先された。

 それでも、世界のベスト16入りしたメンバーはほぼ半数を占める。チームとしての練度は、それなりに担保されていると見ていい。しっかりとした戦いが望まれる理由だ。

 個人的に気になるのは、各選手の所属先での実績である。

 カンボジアでの予選に臨むチームで、中山雄太と原輝綺はポジションをつかんでいる。20歳のセンターバックは柏レイソルで、市立船橋高卒のルーキーはアルビレックス新潟で、ゲームを重ねている。

「試合に絡んでいる」という表現を使えば、さらに多くの選手たちが該当する。ただ、途中出場が多かったり、出場時間が短かったり、という選手が少なくない。

 プロ2年目や3年目といえば、19歳や20歳である。日本ではひと括りに若手とまとめられがちだが、世界では「若い」とは見られない。見られることがあるとしても、「若さ」が寛大な評価につながることはない。

 トップチームで試合に絡むことができなければ、順位的に下のクラブか下のカテゴリーへレンタルされる年齢である。プロ2年目や3年目は、ふるいにかけられるタイミングなのだ。

 U−20日本代表に選ばれるような選手は、所属クラブで微妙な立場にあるケースが少なくない。スタメンには定着できていないがベンチ入りはしていたり、負傷者が出ればベンチに入れたりする選手がいる。他クラブへレンタルさせるのはもったいないので、ひとまず手元に置いておくと判断される選手と言ってもいい。

 そうした選手たちがクラブ内の競争に挑み、勝ち、ポジションをつかんでいくのは理想的である。しかし現実的には、ピッチから遠ざかったまま1シーズン、2シーズンと過ごしていく例もある。その結果として、年齢別の代表チームの強化が停滞してしまう。

 14年、15年にJ3リーグに参加したJリーグU−22選抜は、リオ五輪を目ざすチームの立ち上げ段階で効果をもたらしたと思う。2020年への強化のプロセスでも、東京五輪世代の出場機会創出につながる施策を考えたい。プロフェッショナルが競争社会だとしても、3年後の成功のために積極的に強化策を打ち出していくのだ。

 継続的なリーグ戦への参加が難しいのであれば、短期のキャンプを定例化するのはどうだろう。シーズン中のキャンプは各クラブに負担となる部分もあるので、関東と関西に分けて開催するなどの善後策を講じるのだ。

 J2の水戸ホーリーホックでブレイクしている前田大然は、東京五輪世代でU−20W杯に出場していない。J2リーグと日程が重なるために、U−23選手権予選にも招集されなかった。

 前田のように結果を残し始めている選手を短期キャンプに招集することで、東京五輪を目ざす当事者意識を目覚めさせ、世代全体の競争意識を刺激したい。

 15日の浦和レッズ戦のために来日したドルトムントのメンバーには、18歳のクリスティアン・プリシッチが含まれていた。20歳のウスヌマ・デンベレも、東京五輪世代である。

「若さ」を理由として評価基準を緩めることなく、その時々できっちり課題を提示する。クラブで出場機会をつかめていない選手には、短期キャンプなどで刺激を与えていく。2020年の東京五輪はまだ視界のはるか遠くだが、世界では出場資格を持つ年代の選手が経験をすでに積んでいる。