阪神電気鉄道の謎サービス「本専門トランクルーム」とは?

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阪神電気鉄道株式会社が行うレンタルトランクルーム事業の中で、「risoco books」という、本専門のサービスを開始したという。


本を集めている人は本=宝物という方も多く、置き場は無いけど本は増え続けているという人の話をよく聞く。預けることに不安はあるかもしれないが、本棚からはみ出して部屋に積みあがった本の置き場に困っている方に朗報ではないだろうか。
預けた本はどんな場所に保管されていて、どんな管理をされているのかを利創庫事務局の中谷氏に聞いてみた。

本専門トランクルームならではのサービスとは?


利用の流れは下記の通り。
(1)Webで会員登録をして専用ボックス(キット)を購入する。
(2)荷物を詰める(重量は20kgまで)
(3)同封のテープで封印後、キットに同封されている着払い送り状を貼り、佐川急便に集荷を依頼する。
(4)倉庫で保管される

専用ボックスのサイズは縦440×横320×高さ210(mm)。文庫本サイズなら約100冊、新書サイズなら約60冊、単行本(ハードカバー)サイズなら約30冊が入る大きさだという。
専用ボックスは1箱あたり250円で、個品登録料が1箱あたり200円(30冊まで、30冊を超える場合は1冊10円で登録)。保管料は1箱・1カ月あたり300円という料金体系。
自宅にいながら利用できるので、外出が難しい方でも手軽に利用できる。

本専門というからには、通常のトランクルームサービスとは違って本に特化したサービスがあるのだと思うけど、それはどんなところなのか、本好きとしてはやはり気になる所。

「書籍を預かりするだけではなく、1冊1冊ご登録をさせていただき、預けているものをMyPageでご確認いただけます。また1冊単位での取り出しも可能です。4月中には取出した本を元の箱に戻す事ができる再入庫という機能も実装予定です」

1冊1冊をきちんと管理してくれて、必要になったときに1冊からを送ってもらうことだって可能なのだ(120円/冊+300円、箱での取り出しは預入翌月から1年未満の場合は800円/箱、1年以上預けると無料)。




渋沢栄一が創業者の倉庫で保管


実際に本が保管されている倉庫はどんな場所なのだろう。大切な本を預けるのだから、そこは知っておきたいポイント。

「本を保管している場所は、東証一部上場の澁澤倉庫という倉庫と提携してお荷物を預かって頂いております。澁澤倉庫の創業者は渋沢栄一です。その歴史は古く、観光地で有名な小樽運河のレンガ倉庫も元々は澁澤倉庫が倉庫として使っていたものなんです」


ちなみにどんな設備なのかも聞いてみた。

「大型倉庫の内部のため、外気の影響を受けにくく、温度・湿度が安定しています。また2時間ごとに温度・湿度を自動計測しています。2016年6月〜9月の実績では、湿度最高60%、温度最高30度でした。倉庫内に空調設備は設置されていますが、一般的倉庫の基準を満たしているため使用はしていません。そのため規約上は常温常湿と記載しております」
さすが大手倉庫が管理しているだけあって、湿度や温度もしっかり管理されているようだ。

それにしても気になるのは、鉄道会社が本専門のトランクルームを運営しているということ。まったく関連性がないように思えるのだが、一体なぜなのだろうか?

「弊社では沿線活性を目的に様々な新規事業の創出に取り組んでおります。元々は高架下を有効活用して、近隣の方々にトランクルームのサービス提供を検討していたのですが、ご年配の方や車をお持ちではない方にも便利なサービスを提供したいとの思いから、現在の宅配型の収納サービスになりました」


「収納サービスを検討するうえで、ニーズ調査を行ったところ書籍の預かりニーズが最も大きく、 本を購入した後、本棚がいっぱいで新しい書籍の購入が難しい。しかし売ったり捨てたりはしたくないという方に向けて新しい提案をしようということになりました。紀伊國屋書店様、三省堂書店様、八重洲ブックセンター様などの書店様と協力体制を組んだこともあり、本専門の預かりサービスの提供を行うことになったんです」

大手書店とも協力体制にあるというのは、本を預けるユーザー側も安心して利用する事ができそうだ。
本が保管されている倉庫はセキュリティの都合上、関係者のみしか入館できない環境になっていて、同じ理由から内部の写真も非公開ということだった。
しっかりしたセキュリティの元で管理されている本は、いつでも好きなタイミングで倉庫から出し入れすることができ、しかも宅配料も込みだというから気軽に使うことができそうだ。
(すがたもえ子)