キャイ〜ンのウド鈴木さんは、一回のトイレでトイレットペーパー一本まるまる使い切ってしまうと聞いたことがあります。
筆者も彼ほどではないですが、なかなかの量を使うタイプだと自覚しています。結果、「あれ、もう一本使い終わっちゃったの?」なんてことも珍しくありません。

「世の中にないものを作りたい」というコンセプトには特にこだわった


現在、驚愕のトイレットペーパーが話題を集めているのをご存知でしょうか? 生活協同組合コープこうべ(兵庫県神戸市)が1月13日より発売しているのは、その名も『めっちゃ長いトイレットペーパー』(税込462円/4個入り)。


なんとこれ、225mというとんでもない長さを現実のものとしています。市販品に多いシングルは約55mなので、それらに比べておよそ4倍以上!


「以前から現状の長尺ロールよりも長く、取替え頻度が少なくて済む商品が欲しいという声は組合員さんからありましたが、それに対応できる機械がありませんでした。そんな中、技術の進歩によって可能になったのが商品化の大きなきっかけです。また、『世の中にないものを作りたい』というコンセプトとインパクトがあるネーミングには特にこだわりました」(同生協・滝下さん)

実は「取り換え手間が省ける長いトイレットペーパーを作ってほしい」という要望から、長さ130mの『コアノンロール』が1982年にすでに商品化されていたそう。


実際、22年前に起こった「阪神・淡路大震災」ではトイレットペーパーが“役に立ったグッズ”として脚光を浴びており、より長尺となった今回の商品は防災グッズとして非常に重宝しそうです。何しろ、まぎれもなく国内最長級なので。

ただ、一つだけ不安なことが。これ、各家庭に備え付けられているトイレットペーパーホルダーに収まるんでしょうか? パッと見、重大な秘密がつらつらと記されてる巻き物みたいに見えるんですもの……。



「家庭紙の直径はJIS規格で120mmまでと決まっています。そのため、この商品も120mm以下で設計しているので一般的なペーパーホルダーには入ります。……ですが、ペーパーホルダーのJIS規格は定められていないので、一部入らない物もあると思います。購入時には注意してください!」(滝下さん)

災害時にかさばりにくいのがメリット


とは言え、ただ長くすればいいってもんじゃない。このトイレットペーパー、完成に至るまでに数々の苦労を重ねています。特に挙げるとすれば、以下の3点でしょうか。
(1)1ロール180m以上の長巻きスペックで、既存の150mの商品と同等の風合いを得ることに最も苦労した。
(2)既存品の風合いに近づけ、より柔らかく・滑らかにするため、原料(上質古紙)の蒸解温度をアップ(炊飯時に高温・短時間で調理するイメージ)。適切な蒸解温度を設定するまで、何回も試作品を繰り返した。
これにより紙強度の低下を最低限に抑え、より柔らかな品質を実現できた。(お米に例えると、噛み応えがあるが柔らかくふっくらとした炊き上がりになった)
(3)坪量(紙1平方メートル当たりの重量)・クレープ率(紙を柔らかくするため横方向に非常に細かいシワをつける比率)にもこだわり、何回もやり直した。
最終的には、特殊な方式のエンボス加工を施すことにより、厚みを押えつつ(今までに無い長巻きに対応するため)、トイレットペーパーの表面性の向上(肌触り)をすることができた。

これらの問題を乗り越え、225mという長さを成し遂げた『めっちゃ長いトイレットペーパー』。でも、こんなに長いと、何がいいのか? 要するに、メリットを教えていただけないでしょうか。
「まず、圧倒的に取替え頻度が少なくなったことですね。また、通常12ロール入りや6ロール入りが一般的に販売されている中、この商品は4ロール入りなので収納にもコンパクトとなり重宝します。万が一の災害時にもかさばりにくいので、実用的になるのは間違いないと思います」(滝下さん)
4人家族が消費するトイレットペーパーの1カ月分は通常16ロールですが、このトイレットペーパーならば4ロール(1袋分)で済むそうです。だって、通常より4倍以上の長さなのだから!

今までに、「長く巻いている分紙が薄いかと思ったら案外柔らかかった」「コープさん、やるやん……」といった反響が上がっている『めっちゃ長いトイレットペーパー』。
現在は「コープこうべ」(全161店舗)でしか購入できませんが、来年以降は日本生活協同組合連合会(東京)に加盟する全国の生協でも取り扱う計画だそうです。
(寺西ジャジューカ)