孫向文が2017年の中国を大予測 (C)孫向文/大洋図書

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 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2016年11月に開催されたアメリカ大統領選挙の際、日本の大半のメディアがヒラリー・クリントン氏(69)の勝利を予想する中、僕はドナルド・トランプ氏(70)の勝利を的中させました。

中国人であるがゆえ日本の方々とは異なる視点を持っていること、前々から世界中のメディアや世論を見比べていたことが要因かもしれません。今回は「2017年の中国事情」を予測します。

■泣きっ面に蜂の中国経済

 ここ数年、名目上のGDP(国内総生産)は上昇しているとはいえ、実際の中国の製造業の景気は低下しており、日本企業を含む多くの外資系企業が中国から撤退しています。2017年以降その傾向はますます加速し、結果中国国内には春節(旧正月)以降3億人程度の失業者が発生すると予測されます。

 さらに追いうちをかけるように、中国の大気汚染は日を追うごとに深刻化しており、国民の怒りを抑えるために、最近工場による環境基準を無視した行為が相次いで摘発されています。

 例を挙げると2016年末、国内屈指の人口密集地域「珠江三角洲」の工業地帯を政府から派遣された調査員が抜き打ち調査したところ、多くの工場が罰金を恐れて運営を停止しました。その流れから現在、「環境保護の嵐」と呼ばれるほど同地区の環境基準は厳格化しており、炊飯器や石鹸の使用すら環境汚染行為とみなされ5000元(約85000円)の罰金が採用されます。このような傾向はますます中国の製造業の凋落を招くでしょう。

 このような流れを受け、中国では失業者たちによる大規模デモが各地で発生するでしょう。しかし、現在の中国国内には2000万台以上の監視カメラが設置され、「監視中」と書かれたシールが街中に貼られています。いわば国民たちは常に政府から「見張られている」状態であり、デモが発生した際は厳戒状態になる前に人民解放軍が出動し鎮圧すると思います。17年の中国では天安門事件のような悲劇が再来するかもしれません。

 政治面に目を向けると、中国の憲法では国家主席の任期は5年と定められており、二期までが許可されています。つまり国家主席の就任期間は最長10年ということですが、現職の習近平主席(63)は非常に独裁的な人物です。

 ここ数年、中国共産党内で習主席の派閥争いのライバルと言われる人物たちが相次いで不審死を迎えており、これらはいずれも「自殺」と報道されています。そのため党内でも習主席を批判する声が多く挙がっており、主席退役後は習主席に対する制裁が実行される可能性があります。そのため習主席は憲法を改ざんして主席の任期を終身化し自らの保身を図るとともに、自らの独裁制をますます強めるおそれがあります。

 実際、中国の街宣やネット上には習主席の任期を終身化させようという意見が頻発しています。しかし、これらは五毛党(報酬と引き換えに中共政府を肯定するネットユーザー)らが捏造したプロパガンダに過ぎません。2017年、習主席は名実ともに独裁者となるかもしれません。

 中国の歴史では、王朝が滅亡する直前に必ず予兆のような異常事態が発生します。大気汚染はその予兆ではないでしょうか。もし僕の予測が的中した場合、2017年は中国に新時代が到来する可能性があります。

著者プロフィール


漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。