日本政府は東京五輪が行われる2020年までに、自動運転車の実用化を目指している。また、自動車保険業界では自動運転車に関わる事故を想定した保険特約設定の動きも出ており、ひと昔前には空想の世界にのみ存在していた「自動運転社会」がいよいよ現実のものとなりつつある。(イメージ写真提供:123RF)

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 日本政府は東京五輪が行われる2020年までに、自動運転車の実用化を目指している。また、自動車保険業界では自動運転車に関わる事故を想定した保険特約設定の動きも出ており、ひと昔前には空想の世界にのみ存在していた「自動運転社会」がいよいよ現実のものとなりつつある。

 中国メディア・捜狐は10日、「自動運転車はどうして日本がリードしているのか」とする記事を掲載した。記事は、米国が華々しく自動運転技術の研究開発を進めるなかで、日本が「自動運転社会」の実現に向けて着々を歩みを進め、世界をリードしているとしたうえで、その理由について論じている。

 記事は、自動運転車の日常利用に必要とされる条件は、「安全性の保障」、「認識・判断能力の安定」、そして、「人による道徳的な認可」であると説明。自動運転に関する法律や制度づくりはこの「道徳的な認可」が欠かせないが、各国では依然として市民が自動運転に対して大きな抵抗感を持っていることから、「自動運転社会」に向けた動きが加速しないと論じた。

 そのうえで、米国では今年9月に自動運転車の開発に関する指針を発表するなど、近ごろ続けざまに関連政策を打ち出していると紹介。もし、この流れに乗って米国が世界の自動運転車安全基準の制定において主導的なポジションを取れば、「各国は米国の意図に沿って自動運転車を開発することを余儀なくされる」とし、「それゆえ、日本もリードを奪わざるを得ない」状況であり、2020年までに世界に先駆けてスマート交通システム実用化の構想を立てているのであると解説した。

 記事はさらに、「自動運転社会」の実現に向けて日本が米国をリードする要因の1つとして、米国が技術開発のルールを作る一方で、日本は安全や防犯についてより明確な姿勢を示している点を挙げた。安全性重視の姿勢が自動運転車の大衆化を実現できる確率を大幅に高めているとした。

 日本では自動運転車のレベルを、ドライバーによる運転への関与の度合いで4段階に分けている。現状ではドライバーの運転を基本とし、自動運転はあくまで「アシスト」の域を脱していない「レベル2」の段階が、実用化された自動車のなかで最先端だ。人間が運転に全く関与せずに走行できる「レベル4」への到達には、まだ時間がかかる。自動運転車の開発と実用化、普及には、人びとの「自動車」に対する考え方を大きく変える必要がある。そして、関連する法律やルールの構築も不可欠。求められているのは「スピード」ではなく、一歩一歩の着実な歩みだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)