食べ過ぎで栄養不足に?意外と知らない「過食」を招くNG行動
食欲の秋とはいうけれど、最近食欲が暴走してとまらない! 疲れているから元気を出そうと食べているのに、疲れがとれない! そんな方はいませんか?
もしかしたらそれは、栄養不足が原因かもしれません。今の日本で栄養不足なんて、という方もいらっしゃいますが、ダイエット中だと栄養に偏りのあるものばかりを食べていたり、ダイエットを断念した人は食べたいときに食べたいものを食べて、食べ過ぎによる栄養不足に陥っている場合もあります。
そこで今回は食事指導歴24年の筆者が、栄養不足で食欲が止まらないワケと対処法をご紹介します。
■食べ過ぎで不足する栄養素
毎日の食事の中で摂っているご飯・パン・麺類などの炭水化物。肉・魚・卵や大豆製品などのタンパク質。そして脂質。この三大栄養素を使って、新しい細胞やエネルギーを作り出す働きをするのがビタミンB群です。
朝食はパン、ランチはパスタ、夕食はでき合いのお惣菜という人はバランスが偏ってしまいますし、もう定番となっている低炭水化物ダイエットを実施している人も、タンパク質や脂質の摂取が多くなり、マクロビを実践している人は炭水化物の摂取が多くなる傾向にあります。
このように三大栄養素の摂取量が多くなると、その代謝に使われるビタミンB群が大量に消費されるために体内ではビタミンB群の不足が起こります。すると体は空腹というサインでビタミンB群の不足を教えてくれるのですが、残念ながらこの空腹感で更に三大栄養素を取ってしまうことが多く、食欲が止まらなくなってしまうのです。
■ビタミンB群はアルコールの代謝やストレス、疲労回復でも消費される
ビタミンB群は三大栄養素の代謝だけでなく、アルコールの代謝やストレスによってダメージを受けた神経伝達物質を修復する働きをします。また、運動などで疲れた体や長時間のPC作業による眼精疲労の回復にも消費されます。三大栄養素の摂り過ぎだけでなく、こうした飲酒や肉体的精神的疲労にも気を付けましょう。
■野菜中心も、やり過ぎは栄養不足に
ダイエットのあとのリバウンドが起こりやすい原因のひとつに、ダイエット中はカロリーやGI値ばかりを気にして、野菜や大豆製品に偏り過ぎているからというケースがよくあります。
ビタミンは野菜を食べれば摂れるというのは大間違い。ビタミンB群は野菜などの植物性のものよりも、レバーや豚ヒレ肉など動物性のものに多く含まれています。
■需要と供給のバランスを見直してみましょう
栄養素ごとに厚生労働省の定めた摂取基準量というものがありますが、これも三大栄養素の摂取量によって必要量が違ってきますし、ストレスや運動量によっても個人差があります。この対処法は専門家に相談するか、自分がどれだけ摂ったら異様な食欲が抑えられるかを自分で体験するしかないので、体調や精神状態を見ながらバランスを考えていきましょう。
またビタミンB群が円滑に働くためにはマグネシウムなどのミネラルも不可欠となるので、海藻や大豆製品なども積極的に摂るといいでしょう。
【参考】
※ 吉田企世子,松田早苗(2016)『からだにおいしい あたらしい栄養学』(高橋書店)
【筆者略歴】
※ SAYURI・・・長年の医療業界での経験を生かし、健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーとして執筆活動や講演活動をする傍らNPO法人予防医療推進協会の理事長も務める。
【画像】
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