婚活ストーリー「とにかく結婚したかった 36歳・佳代の話」#第2話
26歳からの10年間、必死に婚活を頑張ってきた佳代。現在36歳となり、最近結婚を考えはじめた後輩の貴子に自身の婚活体験記を語るストーリー。
■登場人物:
加藤佳代:36歳女性。これまで製造業メーカーや人材系企業、大手ネット企業へと転職しながら営業職としてキャリアを築いてきた。26歳から36歳まで、体当たりの婚活をしてきた婚活経験者。
佐藤貴子:佳代の人材系企業時代の後輩で現在30歳。そろそろ結婚を考えているが相手はいない。
■これまでのあらすじ
前回のお話。佳代は当時ブームになりつつあった街コンで広告代理店勤務の男性と出会ったが、継続的なお付き合いには至らず、最初の婚活はあえなく終わった。そして、佳代と貴子の飲み会は続く。
第1話 : 婚活ストーリー「とにかく結婚したかった 36歳・佳代の話」#第1話
■佳代29歳。仕事は上手くいってたけれど
すでに時計は22時を回っている。ビールはそろそろ空になり、貴子は追加のレモンサワーを頼みながら、次のネタを知りたくてうずうずしているようだ。
「次に婚活を本格的にやろうと思ったのは、29歳のころ。ちょうど課長になって、仕事が上手くいき始めたころね」
「あのころ、よく2人で朝まで飲み歩きましたね!」
「そうそう、そんなことばかりやってたから、あまり婚活もしてなくて。仕事が忙しいし、会社の人たちと飲んだり、ゴルフ行ったりしてたほうが楽しかった。でも、きっかけは山下部長ね。当時付き合ってたんだけど、彼がわたしと別れたあとで、さっさと2年目の女と結婚したのよね」
「あのとき佳代さん、やけ酒で結構荒れてましたよね……」
「で、あの人よりも幸せになってやろうと思って、当時月9で婚活をテーマにしたドラマをやってて、また婚活しようって思ったの」
■ネット婚活は“マメな人”向け
「どんな婚活をしたんですか?」
「ネット婚活ね。ネットに登録している人同士でメールをやり取りしたりするシステムなんだけど、毎日一通とか二通とかやり取りしながら相手のことがわかるっていうのは結構ドキドキするわね。でも、ネット婚活の場合、女性が登録するとすごい数の男性からメールが来て、50通とか100通とかメールを見ないといけないから全部に返事を書くなんて絶対無理!って思ったから、年収とか写真とかをしっかりチェックして返事する相手を探したの」
「やっぱり変な人も多いんですか」
「『自称血管年齢30代の50代オジサン』とか、『35歳、無職だけど婚活してます』とか、そういう人もいたけど、ほとんどは普通の人よ。ただ、実際会うまでに1週間ぐらいはメールをやりとりしないといけないから、マメな人じゃないと難しいかもね」
「じゃあ、その時の婚活ではどんな人と出会ったんですか?」
貴子はそう言いながら、デザートを注文しようとメニューを物色している。
「何人かとやり取りしたんだけど、ピンとくる人がいなくて。そんなときに出会ったのが、不動産業界のオトコだったの」
■六本木で出会った、月給53万円の36歳
時計はもう23時を過ぎようとしていた。でも、貴子は一向に私を帰らせてくれそうにない。
「最初、彼とは六本木のかなり高級な和食屋さんで食事をしたんだけど、初対面で会うなり『私の月収は53万円です』とか言い出して。なんだコイツ……とか思ったけど、実際かなり稼いでそうだったし、そのお店でも奢ってくれたし、年の割には体も鍛えてて見た目も悪くなくて」
「その人と付き合ったんですか」
「最初会ったときには『また会いましょう』って話になって。で、当時流行ってたfacebookのアカウントを交換したんだけど」
「どうかしたんですか」
「彼が食事の画像とかアップしてたんだけど、それが毎日『肉、寿司、ラーメン』のどれかだったの。これは太るな、と。それでも何回か会ってみたんだけど、どうしてもこの人と付き合うっていうのがイメージできなくて。結局そのままフェードアウトしちゃった。ネット婚活の場合、会うのは3回までね。それまでに付き合うか決めないとずるずるいっちゃう」
そう言って、私はレモンサワーを飲み干した。いよいよ私の婚活話は、30代に突入していく。
【筆者略歴】
※ 婚活ライター清志郎・・・自身も様々な婚活を経験し、傷だらけになりながらも結婚に至った婚活ライター。男女の気持ちの両方に寄り添える視点と、実際の体験談をもとにしたリアリティのある記事に定評がある。
【画像】
※ g-stockstudio / Shutterstock