ユアン・マクレガーがついに監督デビュー!
 - Michael Tran / WireImage / Getty for TIFF

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 現地時間9日、ユアン・マクレガーの監督デビュー作『アメリカン・パストラル(原題) / American Pastoral』が第41回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映された。翌日行われた会見では、フィリップ・ロスのピューリッツァー賞受賞小説が原作ということもあり最初はナーバスになったものの、十分なキャリアは積んできたはずだと挑んだ監督業についてユアンが語った。

 『アメリカン・パストラル(原題)』は、父は学生時代のスポーツヒーローで、成功したビジネスマン(ユアン)、母は美人コンテストの優勝者(ジェニファー・コネリー)という絵に描いたような完璧なアメリカ人一家が、ベトナム戦争に影響されて暴力的な抗議活動に身を投じた娘(ダコタ・ファニング)によって崩壊させられるさまを描いたドラマ。ユアンは2014年後期に本作を監督することに決まってから2015年9月に撮影を始めるまで徹底して本を読み込み、運転しているときでさえオーディオブックを聴いていたというだけあって、小説のエッセンスをしっかりとつかんだ作品となった。

 「僕は(監督だけでなく)俳優も“フィルムメイカー“だと信じている。自分の撮影が終わったらトレイラーに戻って……というのではなく、俳優もフィルムメイキングの一員だから」と力を込めたユアンは、本作でも監督と俳優の役割を分けて考えることはなかったという。「俳優として、あるシーンについての話し合いの中心にいる。それは監督をするのにとてもいいポジションだと思うんだ」とその理由を説明した。

 また、これまで一緒に仕事をしてきた全ての監督たちから影響を受けたが、実際に監督するにあたっては『シャロウ・グレイブ』や『トレインスポッティング』など俳優となった初期の頃にタッグを組んだダニー・ボイル監督のやり方から学んだことが大きかったそう。「彼は俳優にセットでリハーサルさせるんだ。これは時間の無駄だといって時に省かれるプロセスで、そうした場合、セットに行くと床にテープが貼ってあって、『ここから始めてこのセリフを言いながら向こうの椅子に座って』とか言われる。だけど僕がいつも思うのは『(そう動くって)どうしてわかるの?』ということ。その決定には俳優である自分も関わりたい」。

 今後も監督をしていくのか、という質問には「またやりたいと思うような素晴らしい経験だった一方で、多くの代償を伴う経験でもあった。人生のうちの16〜18か月という期間、作品に集中しなくてはいけなかったけど、それと同時に父親でも夫でも人間でもなくてはいけなかったからね」と笑ったユアン。「本作は本当にやりたいと思える企画だった。だからすぐまた監督をやるかと聞かれたら、できないと答える。でもそうした企画に再び出会えれば、やりたいと思うよ」と焦って企画を探したりはしないと続けていた。(編集部・市川遥)

第41回トロント国際映画祭は現地時間18日まで開催