球団創設5周年のDeNA

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 DeNAが親会社の「横浜DeNAベイスターズ」となって5周年。今季は、ついに念願のAクラス入りを狙える位置につけている。観客動員数も165パーセント増と、ファンサービスにも余念がない。

 この5年間で球団スタッフはどのようなことを考え、球団運営をレベルアップさせてきたのだろうか。今回は、その運営戦略を考えてみたい。

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■旧体制からの脱却

 球団社長を務める池田純社長は今年で40歳。若き新任社長として登場した。

 それまでのベイスターズは運営陣の年齢が高く、大胆な発想や、ユニークな施策がほとんど受け入れられない土壌だったといわれている。当然、若いスタッフの士気は低かった。そんな中、池田社長はスタッフの若返りを始めとする、数々の革新を断行したのだ。

■『次の野球』を皆で考える

 2014年に『次の野球』(株式会社横浜DeNAベイスターズ著、ポプラ社)という本が出版された。

 出版にむけて陣頭指揮をとったのは池田社長。ここには、全ての球団スタッフ、選手から募った600のアイデアのなかから、厳選されたものが収められている。

 この本は、既存の野球の枠組みや常識を超え、「次の野球」に進化していくためのアイデアが詰まった「ビジネス系球団運営アイデアブック」といっていいものだった。そして、ここで提示された、いくつかの施策が実行された。

■「こども野球しゅのうかいだん」開催

 今年の7月2日、球団初の子ども向けイベント「こども野球しゅのうかいだん」が行われた。

 約50名の小学生が集まり、池田社長、高田繁GMとともに「どうしたら野球を広められるのか」、「どうしたら球場をもっと楽しい場所にできるのか」といった、「野球の将来」を考えるイベントだ。

 小学生からは、大人では想像もつかないアイデアが飛び交った。だか、球団スタッフにとって、いい刺激になったことだろう。

 きっと小学生たちのアイデアから着想を得たいくつかの取り組みが、遠からず「ハマスタ」で実現されるに違いない。

■より地元・横浜に根づいた球団に

 横浜スタジアムでヒーローインタビューが行われる際には、終わりに必ず「アイラブ、横浜!」という掛け声を唱和するのがお決まり。これも球団が打ち出した地域密着戦略の一端だ。

 今年、DeNAは設立時からの横浜市による球場運営会社を買収。横浜スタジアムを真のホームスタジアムとした。この決断によって「夢のスタジアム計画」の動きは、ますます加速するだろう。

■結成5年で観客動員数が165%!

 DeNAの観客動員数が激増したニュースは、今では誰もが知るトピックだ。様々な取り組みが実って、地元の子どもたちが横浜スタジアムに戻ってきている。

 おかげで、仕事帰りなどにフラッと立ち寄って観戦できる以前の横浜スタジアムではなくなってしまったが、運営が強化され、チームも強くなることは、ファンにとって喜ばしいことである。

 今年のオールスターゲームは横浜スタジアムで開催される。ここでも、各球団のファンを、喜ばせてくれる一手を打ってくれることだろう。

文=元井靖行(もとい・やすゆき)

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