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 東京都知事選挙(14日公示、31日に投開票)の候補者が連日、マスメディア、インターネット上で注目されている。そんな中で先日、有力候補者の一人だった桜井俊前総務事務次官(62)の出馬辞退が発表された。桜井氏がジャニーズの人気グループ・嵐の櫻井翔(34)の父親であり、東大法学部出身の”大物官僚”の一人であることは連日、大きく報じられていた。

 自民党から正式な出馬要請を受けていた桜井氏であったが、出馬辞退の理由については、「息子に迷惑をかけるので」ともコメントしている。自分の4年間(都知事の任期)のために、今後あと数十年は仕事をしなければならない息子に迷惑をかけたくないというのが理由のようだ。そもそも桜井氏の名前が候補として上がったのは、メディアが発端になっていた。

 今年7月に退官が決まっていたことから一部報道で「都知事候補か」と名前が上がり、その後、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)や、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)が積極的に桜井氏を有力候補者として取り上げた。この背景には自民党東京都連が前のめりになって桜井氏を担ぎ出し始めたことが理由のようだ。

「そもそも櫻井翔の父親であるということが、話題性もあり女性票の獲得が狙えるとにらんだのでしょう。またこれまで続いたタレント出身知事とは異なり、官僚畑でもあるので、党としても安心してプッシュができる。いろんな意味で出馬要請がしやすい人物であったと言えます」(全国紙記者)

■息子・櫻井翔にも根付く“エリート意識”

 一方で息子の櫻井翔の方は、嵐としての活動はもちろんだが、ここ数年はキャスターや司会業といった仕事もこなしている。自身がキャスターをつとめる『NEWS ZERO』(日本テレビ系)も、就任してから10年を数える。来月から開催されるリオ五輪では、日本テレビのキャスターをつとめるという大役も控えている。

「キャスターの顔を持つきっかけとなったのは、父親の助言だとも言われています。桜井俊氏の友人である落語家の立川談之助(63)は、週刊誌の取材に対し、桜井俊氏が息子に『歌や踊りは何年もできないから、なるべくお堅い方の仕事を持っていた方がいい』ということをそれとなく伝えていたことを語っています」(前出・記者)

 もともと櫻井翔は慶応義塾大学経済学部出身という高学歴の持ち主。芸能活動においても、それを活かさない手はないだろう。しかも最近では、そんな櫻井翔にもある噂が浮上している。

「政治家を狙っているという話を頻繁に聞きます。エリート官僚である父親の下で育ち、しかも一家は故・小渕恵三元首相の親戚筋にあたる。そういった環境下で育っているからこそ、安倍政権支持の日テレ選挙特番『ZERO×選挙2016』での総合司会が務まるという背景になっている。同番組では選挙運動中の小泉進次郎と”同学年対談”として語り合う場面がありましたが、櫻井は堂々と政治論議で渡り合っていて、その姿は数十年後の永田町を連想させるものでした」(前出・記者)

 同番組では、18歳〜19歳へのネット調査「総理大臣になってほしい人は?」で、10位のビートたけし、9位の麻生太郎に続く8位で「櫻井翔」を櫻井自らの口によって発表させるなど、”現役ジャニーズ初”の国会議員への歓迎ムードまで感じられた。芸能界のみならず政界でも、櫻井翔の存在感は確実に高まっている。

文・海保真一(かいほ・しんいち)※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。