夏の京都といえば、祇園祭ですよね。大人気無料メルマガ『おもしろい京都案内』では、この日本三大祭のひとつに数えられる祇園祭をシリーズでお届け。第1回目となる今回は、その概要と歴史、そして今も語り継がれる言い伝えについて詳しく解説しています。

祇園祭特集 第1回目

7月の京都と言えば祇園祭です。今回から3週にわたってその魅力をお伝えしたいと思います。それでは第1回目をお楽しみください。まずはさらりと短めに概要だけをご案内します。

祇園祭とは

祇園祭は八坂神社の例祭で、毎年7月1日から31日まで、1ヶ月間行われます。7月1日には切符入りが行われます。各山鉾町で関係者が集い、祭事の無事を祈願するのです。祇園囃子の稽古も始まり、京都市中心部はお祭りムードが一気に高まります。2日は山鉾巡行の順番を決めるくじ取式が行われます。このように連日色々な行事が続いていきます。

一般には、7月17日(前祭・山鉾巡行と神幸祭)と24日(後祭・山鉾巡行と還幸祭)がクライマックスです。簡単に言うと、山や鉾と呼ばれる山車(だし)が街をパレードするのが山鉾巡行です。

前祭(さきまつり)は23基、後祭は9基の山や鉾が巡行します。そして17日と24日それぞれの前日や前々日を宵山(よいやま)、宵々山(よいよいやま)と呼びます。

宵山、宵々山は前夜祭のようなもので特に夕方から深夜にかけては祭の雰囲気が一層盛り上がります。宵山、宵々山の日の夜空に浮かび上がる幻想的な駒形提灯と祇園囃子の音色はとても印象的で深く脳裏に焼きつきます。観光で祇園祭を観に行くのであれば、15日から17日又は22日から24日の間に訪れることをお勧めします。

しかし、祇園祭は単に神社や氏子達だけのものでなく京都市全体のものとして盛り上がります。そして毎日のように八坂神社や鉾町に数十もの儀式や行事などの見どころが沢山あります。あまりにマニアックなので詳細は割愛しますが、私はそれらを可能な限り観ようと4年前から毎年7月10日から25日まで滞在しています。

意外すぎる祇園祭が始まった理由とは

祇園祭の歴史

今から1147年前の西暦869年、都をはじめ国々に疫病が流行しました。人々はこれを牛頭天王(ごずてんのう)の祟りとして恐れまました。牛頭天王は釈迦が生まれたインドの祇園精舎の守護神とされています。祟りを恐れた人々は当時の日本の国の数と同じ66本の鉾を立てて祭りを行いました。そして神輿を神泉苑(二条城の側の寺院)に送ることによって疫病の祟りを払おうとしました。これが祇園御霊会(ごりょうえ)の始まりです。当初は、疫病が流行した時だけ行われたようで、毎年行われるようになったのは970年からと伝わっています。

祇園祭は、7月1日の「吉符入(きっぷいり)」にはじまり、31日の八坂神社の境内摂社「疫神社夏越祭」で幕を閉じます。1ヶ月にわたって八坂神社の各種の神事や山鉾行事が市内中心部の各所で行われます。

厄除粽(ちまき)と蘇民将来子孫也

八坂神社の御祭神、スサノヲノミコトが南海に旅をされた時、蘇民将来(そみんしょうらい)という人に一夜の宿を願い出ました。蘇民将来はスサノヲノミコトを粟で作った食事で厚くもてなしました。蘇民将来の真心をスサノヲノミコトはとても喜びました。スサノオノミコトは疫病流行の際「蘇民将来子孫也(しそんなり)」と記した護符を持つ者は疫病より免れると約束してくれました。その故事にちなみ、祇園祭では、「蘇民将来子孫也」の護符を身につけて祭りに奉仕します。7月31日には、蘇民将来をお祀りする、八坂神社境内「疫神社」で「夏越祭」が行われます。この祭をもって1か月間の祇園祭が幕を閉じます。

京都人が7月にキュウリを食べないワケ

キュウリ封じ

八坂神社の御神紋は「五瓜に唐花(ごかにからはな)」と「左三つ巴」です。これは家紋のようなものです。ちなみに「五瓜に唐花」の紋は織田信長家の家紋と一緒です。

この神紋実はキュウリを輪切りにした時の断面と似ています。そのことが由来で、祇園祭が行われる7月になると祇園祭の関係者や氏子達はキュウリを食べないという習わしがあります。「恐れ多い」とのことからだそうです。

京都は美味しい漬物でも有名な土地ですが、この時期ばかりはキュウリ好きには辛い1か月です。ただ、今も頑なに守られているのはごく一部の方達だけのようで、一般観光客は食べても大丈夫のようです。

いかがでしたか?

まずはサラッと祇園祭の概要と言い伝えなどをお伝えしました。導入部分からコッテリしているとあまりよくないので今回はこのぐらいにしておきます。

次回は来週の半ばの配信となるので、前祭の宵山や山鉾巡行、八坂神社の神幸祭の数日前となります。なので、祇園祭の魅力をふんだんに、余すところなくご案内したいと思います。これを読んで祇園祭に行けば観るべきものがよく分かり感動のレベルも格段に上がるような内容になっています。

一度読んで前祭を観て、もう一度読んで後祭を楽しむことが出来るようにしています。是非とも楽しみにしていて下さい!

image by: kqlsm / Shutterstock.com

 

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出典元:まぐまぐニュース!