元ヤンキースの松井秀喜氏【写真:田口有史】

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194勝右腕からヤンキースタジアム2階席へ、バースデー弾に「一生の思い出」

 ニューヨークにゴジラが帰ってきた! 12日(日本時間13日)にヤンキースタジアムで行われたヤンキースOB戦、第70回オールド・タイマーズ・デーに出場した松井秀喜氏が、現役時代を彷彿とさせる豪快なホームランを放った。奇しくも、この日は松井氏の42度目の誕生日。2009年ワールドシリーズMVPが地元ニューヨークを沸かせた様子を、ヤンキースの球団公式サイトが伝えている。

 名門ヤンキースの歴史を彩った往年の名選手が参加するOB戦オールド・タイマーズ・デー。打席に立った松井は、通算194勝のサイ・ヤング投手、デービッド・コーンと対戦した。初球は「監督の指示だから」(コーン)と松井の頭上を大きく越す“危険球”。だが、2球目真ん中低めに入った直球を豪快に振ると、鋭い打球は右翼ポール付近の2階席に飛び込んだ。

 打った瞬間にホームランと分かる1発に、満面の笑みで「どうだ」とばかりに両手を大きく広げる松井に、球場を埋め尽くしたファンは大喜び。実況アナは「危険球でメッセージを送られたマツイが、次の1球でコーンにメッセージを突き返しました!」とOB戦ならではの対決を盛り上げた。

現役復帰の可能性も? 「1試合もたずにDL入りする」

 不思議な縁もあった。記事によると、渡米前の松井が初めてヤンキースタジアムで試合観戦をした時、1999年ア・リーグ優勝決定シリーズ第2戦のレッドソックス戦で先発したのがコーンだったという。松井は「あの試合を見て、ここでプレーしたいと思った。だから、こういうことができたのは、自分にとっては一生の思い出になります」と通訳を介して喜びを語ったという。

 記事では、松井のジョーク好きな一面も紹介。5年前のOB戦でも被弾しているコーンが真っ直ぐを投げてくると見ていた松井は「予定通りですよ」とニヤリ。さらに、「監督の指示」とされる初球の危険球は、実は試合前に松井が「(1999年に)初めて彼のピッチングを見た時に、これなら打てると思ったって言ったから」だという裏話を披露したそうだ。「あれは彼から僕に対する警告ですね。予定外でした」と話したという。

 現役引退も草野球チームに参加し、右打席ではあるがバットを振っているという松井。メジャー通算175本塁打、日米通算507本塁打を放った松井の衰え知らずの1発に「現役復帰の可能性は?」と質問が飛んだが、「1試合持たずにDL(故障者リスト)入りする」と笑い飛ばしたそうだ。現在は、キャッシュマンGMの特別アドバイザーとして、傘下マイナー球団で若手選手に打撃指導。「自分にとって勉強になる。若い選手を指導するのは楽しい」とコメントしており、指導者としての道を着々と歩んでいる様子が伝えられている。