松岡広大「重圧に押しつぶされそうになった」――『ライブ・スペクタクル NARUTO-ナルト-』主演に大抜擢された舞台ウラ
撮影/鈴木愛子 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
累計発行部数2億部超!『NARUTO-ナルト-』の重圧
――1年前の初演時は17歳でしたね。再びナルトを演じることになりました。
最初に再演のことを聞いたのは今年に入ってからですね。とにかく嬉しかったです。ナルトというキャラクターをものすごく好きになって、純粋に楽しんで演じていたので、またナルトのことを考えて、作り上げていく時間を持てるというのが楽しみでしょうがなかったです。

――原作の人気キャラクターであるロック・リーが新たに登場するなど変化がありますが、松岡さん自身はどんなところで初演との違いを見せたいとお考えですか?
初演から1年経って、いま、去年の台本を読んでも同じ芝居にはならないだろうなと思います。僕自身の考え方、捉え方が確実に変わっていると思うので、新たにゼロからスタートするくらいの気持ちで、自分に、そして役に慣れることなく向き合いたいと思います。
――初演と比べ、ここは確実に変わるだろうと予感している部分は具体的にありますか?
ナルトの心情のリアリティ――たとえばナルトには両親がおらず、孤独を背負って生きているのですが、僕自身、そういう境遇ではないので「つらいな…」くらいしか想像できていなかった。アクションや映像表現が派手なぶん、そういったナルトの内面をより深く、大事に表現できるよう、自分を追い込みたいです。

――舞台化が発表された当時は、やはり大人気作品ですから、原作ファンからいろんな意見が飛び交っていたと思います。そんな大注目を集める作品で初主演ということで、プレッシャーも大きかったのでは?
正直、重圧で言葉にならなかったです。責任感に駆られて押しつぶされそうにもなりました。
――そのプレッシャーをどう跳ねのけ、壁を乗り越えたのでしょうか?
乗り越えるコツやテクニックがあるわけではなく、とにかくぶつかるしかなかったです。考えて、考えて、それを壁に向かって投げかける。体当たりする。それでもダメならまた考える。その繰り返しです。それは決して面倒なことでも嫌いな作業でもなく、作品に向き合ううえで、常にやるべきことだと思います。
――『NARUTO-ナルト-』はアニメも人気ですが、初演時はあえて見ないようにしていたそうですね。今回の再演に際しても…
見ていないです。この作品だけでなく、その前にミュージカル『テニスの王子様』に出演したときも見ないようにしていました。アニメは音と動きがあるので参考にはなるのですが、その印象が強すぎて、どこかで影響されてしまうと思うんです。そうなると僕が演じる意味がなくなってしまう。

――自分なりのナルト像を確立するために、あえて?
原作のマンガを教科書に、そこからインスピレーションを受けて、自分の中で消化したナルトを見せたいと思って。初演が終わったら見てみようとも思っていたのですが、不思議な感覚に陥って落ち着いて見られなくなる予感があったので、やめました(笑)。
――いつか、時間が経ったら見てみたいですか?
忘れたころに見たいですけど…いつになったら意識せずに見られるようになるのかな?(笑)。5年後? 20代後半? 子どもができたら一緒に?(笑)それくらいの時間が必要かもしれないです。
小2で始めたダンスは「ライフワーク」
――『ライブ・スペクタクル NARUTO-ナルト-』に至るまでの軌跡についてもじっくり伺います。小さいころはどんなお子さんでしたか?
僕は双子の姉がいて、さらにその上に兄がふたりいるので4兄弟の末っ子なのですが、小さい頃は甘えん坊でした。ワガママで自由奔放で、あちこちをウロチョロと走り回っていて、落ち着きのない子でした。

――小さいころ、流行っていたことや熱中したことは?
いまでもそうなのですが、あんまり僕は時代の流行に乗らないタイプなんです。だから、何が流行っていたのか、全然わからないです。友達と一緒に遊ぶよりも、家でひとりでゲームしたり、本を読んでいることが多かったし。近所の家ですごく大きなゴールデンレトリバーが飼われていて、その犬とはいつも遊んでいました。
――ご両親の教育方針は?
母はマナーや礼儀にはすごく厳しいタイプ。父は静かに後ろから見守ってくれる感じで、どちらかというと放任主義でした。ふたりとも、僕がやりたいことをいつも応援してくれますし、父は毎日、僕のブログを読んでいるそうです(笑)。好きなことに挑戦させてもらい、伸び伸びと育った末っ子です!
――末っ子タイプの座長というのは……。
僕、獅子座なのでリーダーシップがあり、前に出ることに長けているらしいです(笑)。自分で決めたことは、しっかりとやるタイプで、末っ子らしい部分は、壁を作らずに分け隔てなく接することができるところです。よく「愛嬌がある」とも言われるので、そこはみんなを引っ張るうえでも利点なのかなと思っています。

――いま、人前に立つ仕事をしていますが、子どものころから目立つことはお好きだったんですか?
そうですね。ダンスの発表会などでも自分から「前に出たいです」とか言っていました。やるとなったら前に出て自分を見せたいし、自分を認めてほしくて「僕を見て!」と言いたくなる。やっぱり末っ子っぽいですね(笑)。いま思うとワガママでおこがましいですが…(苦笑)。
――ダンスを始めたのはいつ頃ですか?
実は、幼稚園のころから歌手になりたかったんです。特定の誰かというわけじゃないのですが、TVで歌う人たちを見て憧れて。でも、歌うだけじゃなく、踊れたらいいなと思ってスクールに通い始めました。
――ダンス歴は約10年になるんですね!
そうなんです。小学生のときは週6で練習していました。当時、周りは女の子ばかりで、同年代の男のダンサーってほとんどいなくて、肩身が狭かったのですが頑張って踊っていました。いまでもダンスはライフワークというか、自分の根底にあって、ずっと続けていくものという感じです。
佐藤 健に憧れて叩いた芸能界の扉

――そこまでダンスにのめり込んだのは、どうしてなんでしょうか?
もともと、競争心が強いんですけど、そういう意味で、ダンスってすごく刺激的でした。上手い人が周りにたくさんいる中で、みんなを打ち負かしたかった。やろうと思えばどこでも練習できるので、コツコツと努力して…。そういう地道な積み重ねがやがて大きな実になるので、やりがいがありました。でも、ある時期にスランプに陥ってしまって…。
――スランプとは?
10歳くらいのころだと思います。やってもやっても伸びなくて…。このままじゃどんどん下手になるって思い悩んでいました。10歳が何を悩んでいるんだって感じですけど…(笑)。
――悩める小学生だったんですね(笑)。
そのとき、ふとTVをつけたら『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)が放送されていて、佐藤 健さんがすごくかっこよくて…。「面白そう!」と思ったんです。役者になりたいと思い、履歴書を書いて事務所のオーディションを受けました。
――オーディションのときのことは覚えてますか?
二次選考で面接があったんですけど、緊張で顔が火照ってしまい、メチャクチャ熱かったです!(笑)いまでもその熱さは覚えています。ダンスでさんざん人前に立ってきたし、それが気持ちいいくらいだったのに、そのときはまったく違う、不思議な感覚でした。
――それで佐藤さんと同じ事務所に所属することになったんですね。
小6のときです。
――その年齢で「役者になろう」と思い、オーディションを受ける決断力、行動力がスゴいです!
すぐ行動してしまうんです。一度やると決めたら。ただ、何も考えてないわけではなくて「これは一生に一度のことだ。腹を決めたら逃げないぞ!」という覚悟は小6ながらに持っていました。
