9節の浦和×名古屋戦、右の丸く囲んだ場所が三菱自動車の広告スペース。赤い布で覆われていた。写真:田中研治

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 燃費データ改ざん問題に揺れる三菱自動車が、日産自動車の傘下になることが決まった。この決定を受けて、浦和レッズが直面する問題について改めて整理したい。
 
 日産が三菱自に約2370億円を出資し、34%の株を買い取るという。三菱自は、事実上、日産のグループに収まることになったのだ。
 
 一方、三菱自は浦和の50.63%の株(出資額8100万円)を保有する筆頭株主にあたる。そして横浜の筆頭株主は日産である。
 
 今もっとも問題となっているのが、この資本提携により、「ひとつのオーナーが、複数クラブの経営に携わることを禁止」している、Jリーグ規約(第3章・第25条)に抵触する恐れがある点だ。Jリーグの村井満チェアマンも「詳細について情報を集めたい。その規約に該当するかどうか」と説明。弁護士や専門家から話を聞いて、判断を下すそうだ。
 
 もちろん、日産と三菱自の関係にかかわらず、浦和と横浜が八百長をするとは考えられない。とはいえ例えば結果的に、どちらかのチームがチャンピオンシップに進めるように、あえてライバルチームに引き分けた(負けた)のでは? と疑義をかけられる状況を招きかけないのも、また事実だ。

 まず踏まえておきたいのが、三菱自は浦和の筆頭株主ではあるものの、一般的に言われる「親会社」とは異なる。当初、浦和の株の保有者は三菱自1社だけだったが、二度の増資により現在は30社に割り当てられている。また、05年にはクラブと三菱自の損失補てん契約を解消している。

 現在、クラブへの最大の出資者はリーグ戦の胸スポンサーの「ポラス」であり、なにより入場者収入は2位以下に倍以上の差をつける21億7400万円を計上。15年度は6年ぶりに営業収入60億円を超えている。
 
 そう考えると、三菱自が持つ株式への出資額8100万円は、運営的には決して大きな額ではない(資産価値は上がっているとされる)。日産―三菱―浦和(-横浜)を巡る様々な問題を解消するために、三菱自が株を売却したり、あるいは一旦譲渡するか一部のみを手放したりする可能性は十分にあり得る。
 
 では、クラブ発足からサポーターとともに歴史を築いてきた「三菱」が浦和から完全に消えてしまうのか? 現段階での可能性は五分五分と言えるだろう。
 
 データ改ざん問題が発覚したあと、三菱自からの申し出により、埼玉スタジアムの三菱自の看板に覆いがかけられた。また、ピッチ脇のLED看板やインタビュー用の広告ボードからも三菱自の名前が外された。
 
「企業が倒産したわけではなく、三菱の自動車は販売されている。そこまでする必要はないのでは?」という声も聞かれた。しかし、これらの「三菱外し」の措置は、同じ場所に名前が並ぶスポンサー他社に対する「ブランド力を少しでも汚してはいけない」という配慮が大きかったようだ。
 
 一方、浦和のユニホームには、リーグ戦用は背中、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)用は一番大きな胸に、三菱自がスポンサーとしてついている。これらは、今シーズンは変わらないようだが、やはり来季の変更は免れそうにない。

 かといって、三菱自が浦和との関係を解消すればすべて収まる、という簡単な問題でもない。Jリーグ最多のサポーターに支えられていることに加え、J発足時から「三菱」という力強い支えがあったからこそ、安心して出資してきたスポンサーも少なくない。
 
 もしも三菱自が運営から手を引くことになった時、デメリットも少なくない点は憂慮したい。浦和の前身であった三菱重工など、三菱のグループ企業の動向も気になるところだ。浦和に対し、三菱のグループ企業4社(三菱商事、三菱地所、三菱重工、三菱電機)が、40株・1.25%(200万円)ずつを出資している。