香港では昨年9月の新学期から今年3月までのほぼ半年間で、小中学生を含む23人もの学生が自殺している。香港政府は事態を重視して緊急会議を招集し、自殺原因などを詳細に分析する一方で、教師に学生らの日ごろの態度に気を付けるなどの対策をとるよう指導している。

 とくに大学では近年、中国本土から優秀な学生が入学するなど学業ばかりでなく、就職でも競争が激しくなっていることも自殺する大きな要因になっているとの指摘も出ている。

 最近の自殺の事例では3月13日、香港理工大学の女子学生(20)が自宅マンションから飛び降り自殺を図り、死亡した。

 また、8日には12歳の男子中学生が自宅マンションから飛び降りて死亡したほか、この前日の7日にも15歳の中学3年生がショッピングセンター内で自殺するなど10日間で4人の学生が自殺するという異常事態になっている。

 香港政府教育局の呉克倹局長は「早急に緊急会議を招集し、事件について協議する」としている。

 専門家は自殺を図る原因の第一位は成績が悪いことに絶望し、衝動的にマンションから飛び降りるなどの行動をとったのではないかと分析。さらに、メディアも学生の自殺について、センセーショナルに報じることが多く、同じような悩みを持つ学生が、そのような報道に触発されて、連鎖反応的に自殺を図る可能性もあると指摘する。

 このため、香港記者協会は今後、自殺に関しては学生らを刺激するような感情的な伝え方を控えるとの申し合わせを行っている。

 とはいえ、香港では大学生の自殺も増えていることから、やはり学業成績の悪化で、思ったような就職先が決まらないことが大きな原因となっているようだ。

 これを裏付けるように、3月13日に死亡した理工大学の女子学生は報道機関に宛てた遺書の中で、就職が決まらないことについて、社会に対する不満を綴っていたという。遺書には中国大陸の学生が香港で就職するケースが増え、香港の学生が思うように就職できないとの不満も書かれているとの情報もある。

 さらに、香港の大学生の間では中国政府の圧力に対する不満が強まっている。

 香港政府トップの行政長官選挙で中国政府寄りではない候補が実質的に立候補できない状態になっていることに抗議して、2014年には、香港の繁華街の道路などを占拠するなどの学生を中心とした民主化デモが行なわれた。このデモのそもそもの発端は、大陸の富裕層が香港の高級マンションを買い占め不動産価格が上昇したことや、大陸出身の学生が香港の大学を卒業し、そのまま香港で就職するため香港出身の学生の就職が厳しくなっていることへの根強い不満が学生らを運動に駆り立てているとの見方も出ている。