皆さん、すでにご存知でしょう。昨日、2015年10月21日は『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2』でデロリアンが21世紀へ降り立った、まさにその日でした。

この栄えある記念すべき日に、東京・お台場にて「FUKU-FUKU×BTTF GO! デロリアン走行イベント」なるイベントが開催されました。
Part2では、デロリアンがごみを燃料に走ったじゃないですか? 当日は映画のごとく、不要となった衣料品から生産したバイオエタノールを使用して実際にデロリアンを動かすというのです。

では、まずは当日のイベントの模様から。司会進行役は映画評論家の有村昆氏が務め、ゲストとして元中日ドラゴンズの山本昌さんと野球解説者の山崎武司さんが登場しました。


実は、この人選には意味がある。というのも山本昌さん、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の設定年でもある1985年からプロ野球選手生活をスタートさせ、30年後のPART2で描かれた2015年まで現役として活躍していたのです。というわけで、有村さんと山本昌さんは劇中のマーティの格好で現れました。しかし、ドクの衣装が用意された山崎さんは「衣装が着れません。お腹が出ちゃってまして……」(山崎)。

さてさて、遂にデロリアンが公開されます。ドカ〜ン!



重量は1465キログラム。バナナの皮など不要物を入れる「ミスター・フュージョン」がちゃんとあるし、ボディはしっかりステンレスです。
「僕もデロリアンを持ってるからわかるんですけど、これってワックスがけしちゃいけないんです。キッチン用のステンレスクリーナーで洗わなきゃダメなんです」(有村氏)

さあ、そろそろ今回のイベントの主催者を呼び込みたい。"ごみで走るデロリアン"を開発した「日本環境設計株式会社」社長・岩元美智彦氏が、アインシュタイン(犬)のぬいぐるみを連れて登場です!


この岩元社長、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を鑑賞した際に衝撃を受けました。使わなくなったものが資源となり、そのエネルギーでデロリアンが動く未来の技術に感銘を受けたのです。
岩元 私が21歳だった1985年に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を初めて観ました。そこでは、ごみで車が動くじゃないですか? 「30年後ってごみが資源になるんだな」と勝手に信じてたんですね。でも、10年経ってもなかなかならない。20年経っても、具現化しない。「よし、会社を作っちゃえ」と、このデロリアンを動かすために、この日本環境設計を立ち上げました。2015年10月21日、4時29分。ここまでに、この事業を成し遂げたいと!



では、今回のプロジェクトの内容を簡単にご説明しましょう。日本国内では、年間におよそ170万トンの繊維製品が廃棄されている。これらに含まれる綿繊維をバイオエタノール資源にリサイクル活用をするため、様々な企業同士が連携し、一般の方と一緒になって取り組むのが「FUKU-FUKU×BTTF GO! デロリアン走行プロジェクト」。
プロジェクトでは再生燃料でのデロリアンの走行を目指すべく日本各地をキャラバンで回り、不要となった衣料品の回収を呼びかけています。回収した繊維製品は「糖化」「発酵」というプロセスを経て、燃料となるバイオエタノールへと生まれ変わるのです。


有村 しかも、アメリカからちゃんと公認も出たんですよね?
岩元 そうなんです。この事業の中身が素晴らしいということで、アメリカのユニバーサルさんが「公式でやっちゃえ!」と。
有村 これ、応用すれば、デロリアンじゃない車でもできるらしいです。なんて、エコなんでしょうか!?

さぁ、そろそろPM4時29分が近付いてきた。では、「ミスター・フュージョン」にTシャツを投入します。


すると、"パァ〜ン"と効果音が鳴った! そしてロックをかけ、エンジンかけると、またもや映画と同じ音が! コックピットに山本&山崎両氏がアインシュタインとともに乗り込みます。



山本 このままワープしていきそうですね、本当に!
車内には、映画と同様に次元転移装置があるし。


しかも助手席側には、クリストファー・ロイド直筆のサインも入っている!


岩元 このデロリアン、ちゃんとナンバー取れるんですよ。これに乗ってコンビニに行き、私はおにぎりを買うんですから。



では、いよいよカウントダウンです。5、4、3、2、1、バック・トゥ・ザ・フューチャー!




岩元 スムーズに動きましたねぇ。皆さんが集めてくれた燃料ですので、やっぱりスムーズです。車に思いが入ってますよ。
有村 (デロリアンがUターンしてきて)デロリアンが本当に過去から帰ってきたみたいですね! 時間旅行みたいです。
山本 未来の乗り物に乗っているようでした。昔の自分に会ってきたみたいな。ハタチになる前ですね。ドラゴンズに入ってペーペーの、誰も名前を知らないような選手でしたけどね。
有村 30年前にバック・トゥ・ザ・自分という意味では、今の自分から過去の自分に何て声をかけてあげたいですか?
山本 「頑張ればやれるから」。あと「こういうボール覚えなさい」とか「こうやって投げなさい」と指導しますね。「ちゃんとやれよ、お前」と。
有村 山崎さんは、まさにハンドルを握られたわけですが。
山崎 意外と乗りやすかったですねぇ。映画に出ている車を運転したんですよ? こんな夢のような話はないですよね!

さて今回、コネタでは特別に日本環境設計さんにお話を伺いました。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同社プロジェクトの関連性、そしてその思いについて。以下が、そのQ&Aです。
――「ゴミを資源に走るデロリアンを実現したい!」と思い立ってから、岩元社長は実現に向けてどういう準備を行いましたか?
担当者 衣料品をバイオエタノールにする研究を開始し、研究開発後はその取り組みに参加してくれる企業様を探しました。あと10月21日が近付くにつれ、NBCユニバーサルさんに公式イベントの許可をもらうよう確認もとりました。正式なイベントとして開催でき、ホッとしています(笑)。
――「不要なものを資源にデロリアンを動かす」は岩元社長の中でも一つの集大成となる仕事かと思いますが、その他に日本環境設計さんではどのような仕事・プロジェクトを取り組んできましたか?
担当者 プラスチック製品のリサイクル回収を行う環境省実証事業の「PLA-PLUS」プロジェクトも行っています。FUKU-FUKUプロジェクトやPLA‐PLUSプロジェクにおいては、消費者の方のリサイクル拠点となる回収拠点を増やす取り組みを継続して行っています。
――今回の「デロリアン走行プロジェクト」はイベント内で披露されるアクションの一つでしたが、このような車両は実用化が目指されているのでしょうか?
担当者 はい。車の燃料やジェット機の燃料として、将来的に実用化できればと考えています。ただ、今回のように使わなくなったものを燃料に車を走らせることのみが目的ではありません。使わなくなったもの、つまり、ごみがリサイクルされ、資源として循環される仕組みづくりに取り組んでいます。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が描く"未来"は現実の"未来"よりかなり先を行っている気がしますが、どうしてどうして! 今まさに、"ごみで動くデロリアン"の実用化が成し遂げられようとしています。
(寺西ジャジューカ)