後納制度が9月で終了する国民年金 マイナンバーや消費増税で今後どうなるか聞いてみた

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国民年金の支払い忘れを特例で10年さかのぼって払える「後納制度」が9月末で終了します。
あまり知られていないこの制度、保険料をさかのぼって払える期間は通常2年間だが、納付期間が短いために無年金や低年金となる人を救済する目的で、今月末までなら10年前まで年金事務所で手続きすればさかのぼって支払えるのです。
そこで現在、どんな状況なのか年金事務所の人に話を聞いてみました。

国民年金の後納制度について


後納を申し込みに来られる方はどんな方ですか?
「主にお年を召された方が多いですね。若い方は、あまり年金のことを気にしていない方が多いので、やはり年配の方がいらっしゃいます。最近、新聞に載ったのでそれで知った若い方も最近はいらっしゃいます」

この「後納制度」は、年金事務所で申し込みをして納付書を受け取らないと支払いできませんが、納付書をもらっても日付の早い順に支払わないといけないのだそう。たとえば、2010年の2月から6月までの納付書をもらっても、2月を支払わずに6月を支払うと無効として返納されるとか。いかにもお役所的な制度だが、順序良く支払わないといけないという意味がよくわからない気も。

国民年金は、大学生でも20歳になったら強制加入ですが、所得が基準以下の場合は学生納付特例制度を利用すれば猶予されます。これ、実は卒業後でも申請可能です。申請書が受理された月から2年1カ月前(既に保険料が納付済の月を除く)までなら猶予されるのです。卒業後、就職して厚生年金に加入していたとしても、きちんと申請していなかったら在学期間は未納扱いのまま。もしまだ間に合うようなら急いで申請しましょう。

マイナンバーで年金制度はどうなる?


もしかしてこの先、マイナンバーができたら未納者もすぐにわかっちゃうんじゃないですか? と聞いてみると、「社会保障制度の管理にも利用するのは問題があるので、マイナンバーとは繋げないことになった」とのこと。確かにどのデータも漏れたら問題ですが、年金受給データだといろいろな犯罪の温床になりそうですしね。

消費増税と同時に年金受給資格も変わる!?


ちなみに10年前までの「追納制度」を利用する際には、誓約書にサインを求められますが、その中の一文には「消費税10%に値上げする際に年金受給資格が得られる保険料納付期間が(25年から)10年になる」ことに了承することが書かれています。


保険料納付期間が10年になることは知っていましたが、それが消費税増税と同時?! もし増税されなかったらどうなるのか聞いてみると、「増税と同時という決まりですので、消費税が増税されない場合は、受給資格期間は25年のままです」とあっさり。
うーん、それってなんとなく交換条件のような……。

それはさておきこの先、10年に短縮された場合、今まで支払っていなかった人でも今月末までに10年分を一気に支払っても同じように受給権利は発生するということ。実際に、そういったお年寄りも支払いに来ているそう。
せっかくならこの制度を延長すればいいんじゃない? と思ったのですが、厚生労働省は増税時期まで10年の後納期間を続けることも検討したけど、今国会は改正労働者派遣法の審議などの懸案が優先されたため延長は断念されたとか。知らなかった人や忘れていた人にも責任はありますが、延長した方がいいのに、と思ってしまうのは私だけでしょうか。
(カシハラ@姐御)