実は栄養豊富で健康的! 秋の味覚「焼きいも」の魅力

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秋になると食べたくなるのは、焼きいも。この季節に、「い〜しや〜きいも。おいも」と移動販売車の呼び込みを聞くと、ついつい買いに行きたくなってしまう。寒い日に食べるほくほくした焼きいもは本当に幸せな気分にしてくれる。


ただ、焼きいもは太ってしまうのではないか? おならが出るやすくなるのでは? といった心配事がある。それに、最近は安納芋が人気だけど、自分好みの芋を見つけたい。さらに言えば、家でも手軽に食べられたらいいのに……。

そんな焼きいもに関する疑問や悩みを解消するべく、書籍『焼きいもが、好き』を手にとり、さらに本書の編集者・鈴木さんにもお話をうかがった。

『焼きいもが、好き』は焼きいもについて、生産、小売・流通から栄養、さらには焼きいもをつかったアレンジレシピまで、さまざまな角度で紹介している。



栄養豊富で間食にぴったり


まず、焼きいもは太るという話だが、本書によると、焼きいも3分の1(約100g)とお茶碗に軽めに盛り付けたご飯(約100g)はほぼ同じくらいのカロリーらしい(どちらも約160キロカロリー)。腹持ちがよく食物繊維も豊富なため、食べ方に気をつければ健康的な間食になるそうだ。

残念ながら、焼きいもを食べるとおならが出るのは間違いないとのこと。ただ、さつまいものでんぷん由来のおならはあまり臭くならない。それに焼きいもは食物繊維やビタミンCが豊富で、さらにクロロゲンサン類というポリフェノールが含まれており、シミの原因になるメラニン色素を抑える作用もあるという。

鈴木さんに「焼きいもは準完全栄養食品(タンパク質だけ不足)であり、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な食品です。便秘に悩む女性だけでなく、腸内細菌を育てて体全体の健康づくりのために子どもからお年寄りまで広く食べてほしいです」と、焼きいもの良さを教えていただいた。美味しくて健康・美容にも良いなら、おならには目をつぶってしまおう。


焼きいもは八百屋やコンビニのレジ前で売っていたり、まれに移動販売に遭遇したりするが、最近では通販でも購入でき、冷凍焼きいもとしてスーパーでも販売している。自分の生活に合わせて焼きいもは気軽に手に入るわけだが、鈴木さんは朝食に取り入れているそうだ。
「スーパーで“べにはるか”や“ベニアズマ”の焼きいもを購入しています。5月から8月は“熟成ベニアズマ”の生イモを購入して、電子レンジで焼きいもにしています。早起きしてPCを立ち上げメールのチェックや原稿書き。そこに焼きいも、ヨーグルト、紅茶のセットを自分で用意します」


鈴木さんの焼きいもは本当に美味しそうだ。本書では自宅の電子レンジを使った美味しい焼きいもの作り方も紹介されているので、ぜひ参考にしていただきたい。ちなみに、焼きいもに合うトッピングとして、粒マスタードやチーズ、ヨーグルトなども紹介されているので自分にあうトッピングを探してみるのもいいだろう。

今後人気が出そうな品種は?


また、最近は安納芋が人気だが、今後はどうなるのだろう。
「ねっとり系のべにはるかや安納芋の人気は続くでしょうが、“ただ甘いだけだ”という人も出てきました。焼きいもの風味がしっかりあるしっとり系の品種(ひめあやか/シルクスイート等)に人気が出そうです。ほくほく系では石川県の五郎島金時がおすすめ。ほくほく系からねっとり系までを季節の推移で食味が変化するベニアズマの人気も変わらないでしょう。自分の好みの品種を選んで焼きいもを食べる人が多くなりそうです」
どの品種にどんな特徴があるのかを知っていれば、焼きいも選びも楽しくなりそうだ。購入の際は、ぜひ鈴木さんのアドバイスを参考にしていただきたい。


本書には、「できるだけ焼きいもを消費者においしく安価に提供したい」とさまざまな課題に取り組んできた生産者のことを消費者に伝えたい、そして何よりも焼きいもを好きになってほしいという思いが込められている。
この秋、本書を参考にしながら、焼きいもを美味しく楽しく食べてほしい。その時に、ほんの少し生産者のことを思いうかべてみると、また違った味がするかもしれない。
(上村逸美/boox)