顧客満足の事例/ディズニーなど顧客満足度が高い企業の例/小笠原 昭治
マーケティングの教科書に載るような企業には、伝説といっていい顧客満足の事例があります。その中から、ロールスロイス、ノードストローム、ディズニーリゾートの顧客満足事例を検証。

顧客満足の事例?ロールスロイス
-->高級車の代名詞といわれるロールスロイス。

ロールスロイスには、顧客満足の高さを物語る逸話があります。

ある紳士が、ロールスロイスに乗って、砂漠を横断する旅に出ていたところ、あまりの暑さに、ロールスロイスが故障。

無線で救援を求めると、ヘリコプターで、新車のロールスロイスが、空輸されてきました。

新車に乗り換えて、砂漠を横断し終えてから、英国へ戻り、ロールスロイス社へ、お礼の電話をかけたところ、
「砂漠で故障ですって?そのような事実は、報告されておりません」
とのこと。なぜなら、
「ロールスロイスは、故障しませんので」

たとえ、都市伝説とはいえ、 心憎い事例ですよね。

この都市伝説には、ネタ元があります。

http://tinyurl.com/oqd49rnより引用

ある紳士が、ロールスロイスに乗って、ヨーロッパ旅行に出かけたところ、スイスの山道で、クランクシャフトが故障。

早速、工場に電話して、パーツを送ってもらうよう要請すると、ヘリコプターが飛来し、整備工が降りて来て、てきぱきと修理し、再び、ヘリコプターで飛び去って行った。

英国へ帰国した紳士は、修理代の請求が、いつまで経っても届かないことに不審を抱き、再び、ロールスロイスの工場へ電話したところ、「当社の記録には、そのような事実はございません」
と言われた。紳士は、
「しかし、現に、私は、大陸を旅行し、クランクシャフトを空輸してもらったんだ」
と食い下がった。ところが、「お客様、ロールス・ロイスのクランクシャフトは壊れません」
と言われた。

この話には、さらにネタ元がありますが、ご興味がありましたら、こちら

http://tinyurl.com/oqd49rn

を御覧ください。では、次に、百貨店の顧客満足事例。
顧客満足の事例?百貨店なのにタイヤの返品に応じたノードストローム
-->

百貨店のノードストロームに、
タイヤを返品
しに来たお客さんがいました。 ノードストロームの店員は、こころよく、
返品に応じました。
同店では、
タイヤを売っていない
にもかかわらず。

この話は、ノードストロームの社員でさえ、聞いたことがないそうです(笑)

それもそのはず、マーケティング・コンサルタントのトム・ピータース氏が、
「お客様を疑わないのが、ノードストロームのポリシーだから、きっと、そうするに違いない」
と、講演等で言い広めた想像上の事例。いかに、
企業ポリシーが大切か、よく解かる話
ですね。

このような顧客満足(CS)活動の事例は、マーケティングの教科書に載る企業(ディズニーリゾート)にもあります。 ご存知の方も多いでしょう。
顧客満足の事例?ジェットコースターとアイスクリーム
-->

夏の暑い日、家族でディズニーリゾートへ遊びに来ていた子供が、アイスクリームを持ってジェットコースターに乗りこもうとしたので、 親は、

「アイスクリームを持ったまま、ジェットコースターに乗っちゃダメ」

と注意しましたが、子供は

「乗りたい!乗りたい」

と泣き叫ぶばかり。

そこへ、ディズニーリゾート
のスタッフが、
「アイスクリームを、持っていましょうか?」
と声をかけました。

「うん」

子供は、アイスクリームを、スタッフに預けて、ジェットコースターへ乗り込みました。

乗り終えてきた子供に、スタッフは

「はい。ちゃんと持ってましたよ」

と、
アイスクリームを返しました。
ディズニーリゾートからの帰り道、親は、突然、思い出したように

「あっ!」

と声をあげました。

「このフロリダの暑さだ。待っている間に、アイスクリームは、
溶けて、無くなっていた
ハズなのに、アイスクリームを返してくれたということは、ディズニーリゾートのスタッフは、きっと、新しいアイスクリームを買って、待っていてくれたんだ」

(文・写真ともに筆者脚色)

トム・コネラン (著)ディズニー7つの法則

http://tinyurl.com/pop6twh

より引用。原文は、手紙。

http://www.yamanaka.ics.keio.ac.jp/?page_id=544顧客満足の事例【まとめ】企業ポリシーと行動規範の重要性-->ロールスロイスの顧客満足事例は、都市伝説ですが、元になったエピソードがあります。ノードストロームの顧客満足事例は、作り話です。ディズニーリゾートの顧客満足事例は、本当の話だそうです。これら顧客満足(CS)活動には、共通点があります。それは、 「あの会社なら、そのように対応しても、おかしくない」
と思わせる
企業ポリシーがある
こと。そのポリシーが、
従業員の隅々まで行き渡っていて、行動に反映
されていること。 その企業ポリシーを、
日本では理念
と呼びます。企業理念や、経営理念の「理念」です。

その中に、
「このように動くべし」という行動指針や行動規範
があります。

マーケティング戦略(の中のインターナル・マーケティング)でいうところの、ビヘイビア・アイデンティティ(BI:Behavior Identity)です。

そうした行動規範が、あなたの会社には、ありますか? という話です。
大丈夫。なければ、作ればいいだけです。

あっても、不文律のままでは伝わりませんから、明文化して、社内の壁に掲げておくのみならず、
社外へ宣言
しましょう。そうすることで、あなたの会社は、簡単に真似されない企業文化を持った唯一無二の会社になれます。もしかしたら、
あなたの会社が主人公の顧客満足事例が、どこかで生まれる
かもしれません。

たとえ、従業員の隅々まで行き渡らなくても構いません。言葉に出して宣言してしまえば、
守らざるを得ません
から、もしも仮に、BIを「知らない」または「破った」従業員がいたとしたら、お客さんのほうから、
「言ってることと、やってることが、違うんじゃないの?」
と指摘されます。

これ即ち、信用失墜。 そうなると、社のBIを「知りませんでした」では済まされなくなります。

「信用が失墜するくらいなら、いっそ、無いままで良いんじゃないの?」

という見解もありましょう。

制限が無ければ、「やってもいい」と勘違いするアルバイトがいます。

そういう半社会人が、冷蔵庫の中に入って写真を撮ったり、アルバイト先や、お客さんの悪口をWEBへ投稿しています。

炎上してしまったら、失った信用は、そうカンタンに、取り戻せません。

だから、作りましょう!

作り方は、とってもカンタンですから。

(2009.8.28発行の筆者メールマガジンより転載)

http://www.melma.com/backnumber_96400/