12月上旬に発売するauのデジタルラジオ端末「W44S」(撮影:吉川忠行)

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KDDI<9433>は16日、国内で初めてデジタルラジオに対応するauの新携帯端末を12月上旬に発売し、それに合わせて放送波を使って楽曲などのファイルをダウンロードできる「通信放送融合型マルチメディアサービス」を開始すると発表した。

 同サービス提供に協力するエフエム東京(東京都千代田区、後藤亘社長)とレーベルゲート(東京都港区、今野敏博社長)と、東京都港区のホテルオークラ東京で共同発表会を行った。エフエム東京は12月1日からデジタルラジオ放送をスタートし、レーベルゲートは携帯電話向けにビデオクリップ配信サービスを始める。発表会では、FMラジオ機能付き携帯の普及台数が9月に1000万台を超えたことなどが紹介され、各社の代表者らは「新たなラジオ放送の楽しみ方を提案したい」などと、可能性に期待を込めた。

 デジタルラジオ対応端末第1弾は、ソニーエリクソンの「W44S」。ワンセグや楽曲を映像とともに楽しめる新サービスの「LISMO ビデオクリップ」などの映像メディアサービスにも対応している。同端末は縦にも横にも開閉が可能で、電話・メール機能を利用する場合は縦に、動画や音楽の再生時は横に開くなど用途に応じて使い分けることができる。オープン価格だが、実売額は2万5000円前後の見通し。

 発表会に出席したKDDIの小野寺正社長は「常に“一歩先”を行く音楽サービスを提供していきたい」と笑顔を見せた。競合キャリアの追随への対抗策を問われると、「他社がやるのは普及のために必要なことで、歓迎したい」と語った。また、携帯電話の販売奨励金については「いいと思っているわけではないが、デジタルラジオやワンセグを率いているのは携帯の端末。奨励金をやめると普及も進まず、日本経済の発展につながらない」とし、継続は必要との認識を示した。【了】