9日、東京都中央区の北越製紙本社で会見にのぞむ三輪正明社長(撮影:吉川忠行)

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「王子の一連の動きは、当社にとって驚きの連続であり、株式市場をミスリードした不適切、不誠実な行為だ」――。北越製紙<3865>の三輪正明社長は9日、東京都中央区の同社本社で会見し、王子製紙<3861>のTOB(株式公開買い付け)に改めて反対の意思を表明した。TOB阻止について「自信は十分ある」と話し、同社の株主に対して王子のTOBに応募しないよう訴えた。

 三輪社長は冒頭、2月ごろから水面下であった王子からの統合提案について説明。王子のTOBが北越からの提案を考慮していないのに加え、王子が提案した統合メリットは王子にとって一方的であり、北越の企業価値向上について触れられていないと主張した。

 王子の提案について、北越が成長戦略の核に位置づける大型新鋭設備(N9)の活用を無視したものであることや、経営上大きな課題である中国ビジネスでのリスクや、他工場の状況について触れられていないことを遺憾とした。また、総合メーカーを志向し、規模拡大と市場でのプレゼンスを重視した王子とは、「考え方が根本的に異なる」と話し、路線の違いを強調した。

 その上で、筆頭株主の三菱商事との連携強化を柱にした、自主独立路線による企業価値の向上策を発表。同社の世界的な原材料調達ネットワークを利用し、三菱製紙など同社の子会社との協業体制を検討していくと述べた。

 王子のTOBに反対し、北越株を買い支えた日本製紙について、三輪社長は「自主独立という当社の考え方を理解している。業務提携を進めていく可能性は十分にあり、具体的にはこれから詰めていきたい」と語った。一方で、三菱商事と日本製紙との具体的な業務の進め方について問われると、数秒間答えを詰まらせて相談する場面もあり、王子へのTOB反対を明確に示したものの、三菱や日本製紙との提携メリットについては話しが進んでいない現況もにじませた。【了】

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