インタビューに答える東大地震研の土井助教授

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20日起きた福岡西方沖地震は、「地震が少ない」とされた九州北部ではまれな大地震となった。発生のメカニズムと今後の見通しについて、東京大学地震研究所の土井恵治助教授に聞いた。

─ 今回はどのようなタイプの地震だったのでしょうか。

 「地震には主に海溝型と内陸または内陸近くの浅い場所で起こる型の2パターンありますが、今回は後者のタイプです。
 まず、海溝型についてですが、プレートとプレートの境目に海溝があり、そこでは50年から200年間隔でマグニチュード7〜8クラスの地震が起きます。少し前の世代だと古文書などの記録が残っていることが多く、そこから我々は次にどんな地震が来るか、いつ頃発生しそうか、ある程度予想することができます。
 一方、内陸の浅い所で起こる地震は活断層によるものです。日本列島全体はプレートが押し合ってゆがんでいるのですが、それによってできた傷跡、割れ目が活断層です。活断層が地震を起こす間隔は1000年から2万年という長期間なので記録が残っていないことが多く、予測も難しくなります。九州北部はその活動の間隔が特に長いと考えています」

─ 日本にどれくらい活断層はあるのですか。

 「確認されているのは2000ほどです。しかし、これは地表に出ているものだけであって、地下に潜っているものもたくさんあるはずです」

─ 今回は活断層がどのように動いたのですか。

 「福岡市沖の海底の活断層が横にずれました。上下動が少なかったため、海水があまり動かず、大きな津波は起きませんでした」

─ 活断層は必ず横にずれるのでしょうか。

 「そんなことはありません。東北地方では縦にずれる活断層が比較的多くあります。ただ、日本全体では横ずれ型が多いと思われます」

─ 縦ずれ型と横ずれ型では、どちらの被害が大きくなりますか。

 「どちらとも言えません。地震波によって衝撃度が異なるからです。また、地震の規模が大きくなるといくつかの活断層が相互に連動するので、縦ずれ型と横ずれ型の両方が同時に動くこともあります」

─ なぜ、九州北部ではこれまで大きな地震がなかったのでしょうか。

 「プレートから200〜300キロ離れているので、ひずみがたまりにくかったからだと思います。逆にプレートのへりに近い所はたまりやすいと考えられます」

─ 九州北部の断層が活発化するのでしょうか。

 「状況を見るしかありませんが、差し迫った状況にあるとは考えていません」

─ 今後、余震はどれくらいの期間起こると考えられますか。

 「体に感じるものは1カ月くらいあるかもしれません。ただ、余震の状態を見ていると、それほど多くはありません」

─ 住民はどのような注意をするべきでしょうか。

 「雨によって地盤が緩んでいますし、余震の可能性もあるのでがけ崩れが考えられます」

─ ありがとうございました。【了】