茨城県鉾田市の農道で22日午後10時ごろ、中国人研修生が男ら数人に切り付けられた事件が中国では大きく報じられている。(イメージ写真提供:123RF)

写真拡大

 中国では、茨城県鉾田市の農道で22日午後10時ごろ、中国人研修生が男ら数人に切り付けられ、1人が死亡、1人が負傷した事件が大きく報じられている。負傷した中国人が襲撃した者を「日本人でなく外国人のようだった」と話していることについて、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)では、「南京大虐殺と同様に殺人の真相を隠すのでは」などの書き込みも見られる。

 中国で同事件は、日本の国内報道を紹介する形で紹介されている。そのため、襲撃者が「外国人のようだった」との被害者証言も「日本のメディアが違う(日本人ではない)と言ったら、日本人ではないのか。大笑いだね。日本のメディアが南京大虐殺を本当ではなかったと言ったら、信じるかい?」、「日本のメディアが言っているだけだね。被害者(負傷者)が死んだら、どうなるのかね(笑)」といったコメントが寄せられている。

 その他、「日本は素晴らしいと言っていたのは誰だ」といった、日本における治安のよさに否定する意見もある。

 一方で、「中国人が韓国で働いても犯罪の被害にあう。日本人が韓国で働いても犯罪の被害にある。日本人が日本で働いても犯罪の被害にあう。政治思想に関係する犯罪とはかぎらない」と、茨城県で発生した中国人殺傷事件と政治問題を安直に絡めるべきではないとの主張も見られる。

**********

◆解説◆
 中国は、日中戦争時の1937年に日本軍が中華民国首都の南京を攻略・占領した際に、中国軍の便衣兵(平服着用などで民間人に偽装した兵士)、敗残兵、捕虜、一般市民など30万人を殺害したとして、同事件を「南京大屠殺」と呼んでいる。日本語になおせば「南京大虐殺」のニュアンスだ。中国では蒋介石政権時代も中華人民共和国成立以降も言論が統制されており、犠牲者数は「一本化」される傾向が極めて強い。

 日本では犠牲者数について、中国側と同様に極めて大きな数とする説から、数万人説、数千人説、否定説などざまざまな言い方が存在する。「大虐殺」と言うべき行為があったかどうかも確定できていないとして、同件を「南京事件」と呼ぶことが比較的多い。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)