ロボットが家族になった先にあるロボットの老後問題 2014年で気になったロボットたち

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家庭向け人型ロボットが手の届く価格帯で登場するなど、2014年はロボットがグッと身近になる1年だった。そこで、今年を振り返って、気になるロボット・トピック5をまとめてみよう。

●第1位 今年は、なんといってもコレ おしゃべりすぎるロボット「Pepper」登場
6月には、ソフトバンクからコミュニケーションロボットのPepperが発表された。人と会話することができ、身振り手振りを交えて感情豊かな表現でコミュニケーションができるロボットだ。
すでにあちこちで登場しているが、実は、発売開始は来年2月からで、まだ未発売なのだ。Pepperは、ソフトバンクショップで接客もしていて、お店に入ると「好きなロボットは?」のように話しかけてくれる。ちょっとしつこいくらいの人なつっこさはロボットらしくない。
当初はソフトバンク銀座店、表参道店のみだったが、現在では23都道府県75店舗(12月5日時点)で会うことができる。

またPepperのユニークなコミュニケーション力のヒミツは開発に吉本興業の「よしもとロボット研究所」も関わっていることも影響しているのかもしれない。どうりで、ユニークな会話や身振りが得意なはずだ。
来年はいよいよ販売が開始されるが、それ以外にも「R-1ぐらんぷり2015」(決勝の放送は15年2月)への参戦も表明しており活躍が期待されている。
もしかすると、お笑い芸人を脅かす存在になってしまうかも!?

価格は198,000円で、一般家庭でも手の届く範囲だが、身長120cmのロボットが動き回れるスペースが必要な点が、価格以上のハードルとなりそうだ。

●第2位 「ロビ」がついに完成!歌って、踊って、転倒してもかわいい
デアゴスティーニ・ジャパンが発行するパートワークの「週刊ロビ」が、7月に70号を迎えてついに完結した。購読者(ロビ制作者)は、完成まで70 号、約1年半をかけた偉業達成と言えるだろう。

「ロビ」完成直後から、ネットではロビの動画を投稿するユーザーが続出。楽しく歌って踊るロビの姿から、転倒しり、煙を吹き出したりするアクシデントまで、ユーザーの一喜一憂を見ることができた。
約1年半という長い期間をかけて組み立てたロボットだけあり、もはやロボットとは思えないユーザーの「ロビ」への愛情を感じることができる。

同シリーズは今でも人気で、2013年末には再創刊されているほか、台湾やイタリアなど海外での販売も始まっている。
これほど世界でも人気を集めた秘密は、ロボットクリエーター高橋智隆氏による愛らしいデザインにある。

また、ロビが乗るバイクのロビクルや、周辺アクセサリーなど、さまざまな商品も展開され、ロビファンの気持ちをガッチリ掴んでいる。

●第3位 AIBOのサポートがついに終了
AIBOは、1999年から20006年の間に、ソニーから販売されたイヌ型ロボット。動物を模した姿や動きが再現されているロボットだ。実際にAIBOを見ていくうちに、本物のペットや家族のような愛情を感じた人も多かった。

ところが今年の3月、開発撤退から長く続けられてきたサポートも、ついに終了が発表された。故障やバッテリ切れなどに対するサポートが無くなることから、ユーザーから悲しみの声もあがった。
今は、AIBOの修理を請負、“飼い主”たちの気持ちに答えようとする業者も登場しているようだ。

人間やペットだけでなく、愛情をかけたロボットの“老後”をどうするか?
そんなロボット時代への問題も、今回のAIBOのサポート終了で考えさせられた。

●第4位 一番利用されているのは「お掃除ロボット」国内メーカーも本格参入
自動で動いて、家庭の床を掃除してくれるお掃除ロボット。人や動物の形をしているわけでもないのに、動く姿を見ていると愛着がわいてくるから不思議だ。せっせと動いて掃除してくれる姿に感情移入してしまう人が続出。

お掃除ロボットは、今年すっかり家庭に定着しつつあるようだ。
こうした家庭の変化により、国内メーカーもおそうじロボットを開発、まさかの参入が開始された。
東芝は、これまでOEMのお掃除ロボットを販売していたが、9月から自社開発の「TORNEO ROBO」シリーズを発売開始した。また、シャープは11月にCOCOROBOの「プレミアムなCOCOROBO<妹ver.>」をWeb限定販売している。「おはようダーリン、起きてー」のように、妹の声で話しかける機能まで搭載している。

国内メーカーもお掃除ロボットに本格参入したことから来年は、より多くの家庭に普及が進みそうだ。また、どのような形やデザインのロボットでも擬人化してしまうのは、日本らしい柔軟性だ。

●第5位 「不気味の谷」を越えてくるアンドロイドたち
ロビやPepperのように、人間の姿をデフォルメしたロボットは「かわいい」。また、お掃除ロボットのように人の形をしていなくても、動作や動きも「かわいい」。

では、もっと人間に近づいたロボットは、もっと「かわいい」? とは、限らない。
人間に近づけば近づくほど、怖く感じるようだ。それが「不気味の谷」だ。

大阪大学の石黒 浩教授は、アンドロイドの人間らしさを追求している。
石黒教授が手がけるアンドロイドは見た目が人間そっくりなだけでなく、首をかしげたり、まばたきしたり、笑ったりしながら会話をしてくる。
そのリアリティは、不気味の谷を越えて、見る人に感情を感じてしまうほどだ。

また12月に電通から、タレントのマツコ・デラックスそっくりの「マツコロイド」が発表された。このアンドロイドも石黒教授の監修によるものだ。
「マツコロイド」は、今後、テレビや商業施設のイベントに登場するとのことだ。

2014年は、空想科学や産業分野ではなく、家庭の中のロボットが身近になった年だといってもいいだろう。
特に家庭で普及するには、人が愛情を感じられる「会話」「デザイン」「動作」といったコミュニケーションができるロボットが必要となる。
また、そうしてロボットが家族同然、家族の一員になったとき、いつまで一緒にいられるか(いつまでサポートできる、すべきなのか)といった、今後の課題も見た一年だった。

ロビやPepper、そしてお掃除ロボットたちの10年後は、はたしてどうなっているのだろう?