急病人が発生した際は一刻も早い救急車の要請が必要ですが、そもそも僻地だったり、事故で立ち往生している高速道路上では救急車の到着が困難。そんな状況でも、電話から1分足らずでAEDを搭載したドローンが空から駆けつけて、ドローンのカメラを通じて救急隊員が的確に指示までしてくれるのが「Ambulance Drone(救急ドローン)」です。

TU Delft - Ambulance Drone - YouTube

スマートフォンでどこかに電話がかけられています。



「こちら救急です。どうしましたか?」



「父が恐らく心臓発作で倒れたの!お願い、助けて下さい」



「落ち着いて。あなたの居場所を特定しました。今すぐ救急ドローンを飛ばします」



「すぐに到着するので、服を脱がせておいてください」と救急の男性が指示を行います。



電話から25秒でF1のようなうなり声を上げて現地へ向かうドローン。



「出口へ向かえますか?」と尋ねる救急の男性。



出口に出た女性がドローンを発見。なんとここまで、電話してから1分もたっていません。



「電話は切って構いません。ドローンを患者の元へ持って行って下さい」とドローンの音声通話指示に切り替え。これなら両手が空くので緊急事態への対応がスムーズになるはず。



ドローンを持ち上げて女性が父親の元へ急ぎます。



その様子は救急隊員がバッチリとドローンからの映像で確認中。



「緑色のツマミを引っ張って下さい」と言われて引き出すと、薄いパッドが出てきました。



「胸に2枚のパッドを当てて、準備ができたら離れて下さい」



1分58秒919からAEDのよる処置を開始。



すぐさま、父親の男性の意識が戻りました。



生還を喜び合う親子。ドローンの迅速な対応によって九死に一生を得た、というわけです。



AEDドローン開発チームのアレク・モモンさん。



僻地など救急車がすぐに到着できない場所へすぐさま駆けつけられる救急ドローンの実用化を目指しています。



現在開発中のプロトタイプは1時間に100kmを飛行することが可能。「救急ドローンの迅速な対応によって生存率を8%から80%まで上昇させることができます」と話すアレクさん。



モモンさんらは、僻地など救急車がすぐに到着できない場所へすぐさま駆けつけられる救急ドローンの実用化を目指しています。



実用化に耐えるコンパクトで素早いドローンを開発中で、フレームにはカーボンファイバーが使われています。



日本でもAEDを設置する場所は増えていますが、どこにでもあるわけではありません。カメラとマイクを通じて専門家が指示をしてくれる救急ドローンが実用化されれば、今まで救えなかった多くの命を助けることができそうです。将来的には装備を変えることで水難事故の救助・糖尿病・呼吸器の病気などにも対応可能な、空飛ぶツールボックスになるとのことです。