湖南省娄底市農村部にある橋溪港炭鉱が10月12日、経営不振のための閉山を宣言した。地元の役場などに閉山の告知を貼り出したところ、周辺住民が同炭鉱に押しかけ、石炭搬送用のトロッコ車、空調装置、配電盤、変圧器、ポンプ、その他の機械類などを次々に持ち去った。金額にして1000万元(約1億7700万円)以上という。炭鉱は「廃墟」となった。

 同炭鉱は2003年に操業を開始したが赤字が続き、2014年1月には操業を停止した。しかし、操業再開を視野に入れた場合、坑内に湧き出る地下水を汲みだしつづけねばならず、電力料金だけで1日当たり1万元が必要だった。

 同炭鉱は1月からは電力料金を支払わなくなった。電力部門は「再三にわたって督促したが、支払いを得ることができなかった」として、10月10日に同炭鉱への電力供給を停めた。

 同炭鉱は地元に対して農業補償金を支払う協定を結んでいたが、2014年になってからの約70万元分が未払いだ。炭鉱側と地元住民代表は「操業再開の際には、それに先だって補償金の未払い分を支払う」との協定を結んだが、「取りっぱぐれるに決まっている」と考えた住民が、機械類などを次々に持ち去ったとみられている。

 炭鉱には守衛がいたが、阻止することはできなかった。守衛によると、きちんとしたルートを見つければ中古品としても「それなり」の価格で売れるはずの機械類が、廃品として売られているという。

 例えば、群集が押しかけて持ち去った変圧器は「通常は5、6万元の価値があるが、彼らは持ち去ってから、分解して屑鉄や屑銅として売っている。これでは4000元ぐらいにしかならない」という。

 炭鉱のある娄星区石井鎮山泉村の彭季秋村長(村民委員会主任)は、鉱山の財産が略奪に遭遇したことを「大変に遺憾に思う」として、鎮政府に辞職願を提出した。

 娄底市警察は略奪を事件として、21日夜までに捜査に乗り出した。(編集担当:如月隼人)