うれしい誤算のメディアファクトリー、楽観的過ぎた東映、というところか。

 大泉洋がいま再ブームだ。出版、映画部門で彼の作品がたて続けに話題になっている。
 まず、エッセイ『僕が綴った16年』(メディアファクトリー)の発行部数が15万部を突破した。初版8万部を用意した4月19日の発売から10日間で7万部を上乗せした。

 わずか1カ月で累計発行部数15万部はクリーンヒットである。なにしろ、当の大泉は苦労したわけでもない。
 “大泉エッセイ”は、'97年から'05年までの8年間、『北海道じゃらん』(リクルート北海道)などの雑誌で連載した108編のエッセイに、4本を書き加えたもの。そこには大泉の番組『水曜どうでしょう』(北海道テレビ)などの裏エピソードなども綴られている。出版関係者にはこうした“お蔵だし手法”を評価し、取り入れている者も少なくない。ただ、大泉だからヒット現象を巻き起こしたともいえる。
 「大泉はトークにおいて、切り返えしのうまさで出身地・北海道では大人気。あだち充が本の装丁を担当しているのも加速がついた要因といえます。なにしろ、'05年に出した『鈴木貴之編集長 大泉洋』(新潮社)以来で、こちらもその人気の追い風を受け、突如として数万部売れている」(出版関係者)

 だが、映画の方は意外と伸び悩みだ。
 5月に公開された『探偵はBARにいる2 ススキの大交差点』は興収10億円プラスアルファと、前作『探偵はBARにいる』を上回ることができないとみられている。
 「前作の興収が12億円で、前売りも180%と出だしの勢いだけはよかった。東映は興収20億円を見込んでいたが次第に客足は落ち、10億円程度に落ち着くのでは、と映画興行関係者は推測している」(映画業界事情通)

 それにしても、昔書いたエッセイで大金を稼いだ大泉商法、今後定着するか?