W杯最終予選、対オーストラリア戦が3日後に迫っている。先日行われたテストマッチのブルガリア戦は0─2で敗戦。結果的にも内容的にも完敗だったね。採点をつけるとすれば、100点満点で20点。そのうち10点は雨の中駆けつけたサポーターに対するものだ。ただし、あの試合内容でブーイングの一つも出なかったことに対しては同調できないけれどね。
  
 ブルガリア戦はスタートから3─4─3を選択した。このタイミングで試したということは、オーストラリア戦で使うつもり、あるいはつもりだったということだろう。ところが蓋を開けてみれば、システムどうこう以前の問題だった。球際、スピード、判断力、個々のスキル、そのすべてで日本よりもブルガリアの方が上だった。ブルガリアは誰が交代出場してきてもチームとしての力も落ちず、オーガナイズという面でも完敗だったね。
 
 2つの失点はミスによるものだ。ブレ球に対する処理を誤った1失点目は、南アフリカW杯で浴びたスナイデルのシュートを思い出させた。つまり本番でも十分起こりえるシチュエーションだ。そこにキャプテンのオウンゴールが加わり、選手たちは下を向いてしまった。顔を上げて反撃に転ずる覇気のかけらもなかった。はっきり言って情けないね。
 
 チームというのは生き物だ。その時その時でセレクションされて集まる代表チームならなおさらだ。これまで何度も述べてきているが、今勢いのある選手、好調な選手を分け隔てなく選び、常に活性した状態にしておかないと、泡の抜けたビールみたいなチームになってしまう。本当に今の代表が日本で一番強いチームなのか。そのオーガナイズの仕方に、改めて疑問の思いを強くしたよ。
 
 そしてもう一つ、一番危惧されるのが日本中に漂う楽観ムードだ。メディアもファンも、そして代表選手たちも、どこかでもうW杯出場権獲得が決まったも同然だと思っていないか。オーストラリアがどんな相手であるか、自分たちがどういうレベルであるかを忘れていないか。6月4日はお祭りだと思っていないか。
 
 オーストラリアは、90分間で一度も勝ったことがない相手だ。アジア杯決勝で勝った時だって、まぐれみたいなものだ。日本は北朝鮮に負け、ヨルダンに負けるチームだ。勘違いしてはいけないよ。
 
 メディアは現実から目を逸らし、「ホームでW杯出場が決まるのは史上初」と言って煽りまくる。だからどうした。そんなことはどうでもいいよ。オーストラリアは強い。負ければ3連敗。ザッケローニ監督の進退論も出てくるだろう。3日後に迫っているのは、そういう試合だということを忘れてはならない。