選手たちが国の威信をかけて、必死で戦ってきたのはわかる。でも、2連覇した過去大会と比べて、何かもの足りないのだ。高視聴率のわりに盛り上がりに欠ける印象の要因を探ろう。

【1】スター不足

 メジャー組不在の「侍ジャパン」は、イチロー、松坂、ダルビッシュといった、文字どおりのメジャーな存在がいない。そんな中、山本浩二監督(66)が就任早々、キャプテンに指名したのが、阿部慎之助(33)だった。

 某民放局の関係者が言う。

「現在の球界を見渡せば、阿部が代表選手の中でも抜きんでた存在感を持っているのは異論がない。しかし、いかんせん世間的な知名度は低いんですよ。野球ファンでなければ、彼が常勝球団の巨人で、実力的にも精神的にも支柱であることなんて知らない。そこでWBC開幕前から、大手広告代理店らと絵図を描いて、今大会で阿部が大スターになるようプロジェクトを進めてきたんです」

 ところが、肝心の阿部が4番に座りながら不発続きとなった。

「ブレイクさせるはずが、シナリオが崩れ始めた。撮りためたインタビュー映像もお蔵入りの可能性があり、ドキュメンタリーを制作する班も動いていたが、『このままじゃ放送はないぞ』と頭を抱えていましたね」(前出・民放局関係者)

 いくら2連覇王者といえど、スターだけは作ろうと思っても作れないようだ。

【2】長打力不足

 重苦しい雰囲気を一発で解消してくれるホームランが出ないのも、ファンをヤキモキさせている。

 森羅万象漫画家のやくみつる氏が話す。

「確かに、キューバ選手の“ムチャ振り”を見たり、海の向こうでドミニカ打線が爆発したなんていうのを聞くと、ベースボールではなく”野球”なんだというジレンマを感じますね」

 一部首脳陣の口から、冗談半分とはいえ、こんな声も漏れたという‥‥。「阿部の代わりにおかわり(中村剛也)を入れたい」

【3】ライバル不足

 過去2大会でWBCといえば日韓戦。はやばやと韓国が姿を消したのも寂しい大会となった要因だろう。

 そして韓国を返り討ちにしようとしていた日本には誤算も生まれていた。

「『想定していた』と強がってはいましたが、韓国でのコーチ歴がある高代延博守備走塁コーチ(58)もいて、侍ジャパンはライバル・韓国の情報ばかり充実していた。他国のデータ不足が命取りにならなければいいのですが‥‥」(スポーツライター)

【4】資金力不足

 山本監督の采配には賛否両論が渦巻いているが、同情の余地もあるという。

「一部の噂ですが、山本監督の代表監督報酬はたった150万円と言われている。もちろん、大会後に講演などで稼げるメリットはありますが、サッカーのザッケローニが同じ代表監督で『2年2億円』などと聞かされると気の毒ですよね」(球界関係者)

 スポンサー不足による資金難は、山本監督の不人気さゆえとも言われるが‥‥。

【5】管理不足

 開幕前の宮崎合宿中、3大会連続出場の主戦投手・杉内が不倫相手の女性とホテルの一室で情交を結ぶシーンが写真週刊誌に激写された。同時に、再び涌井秀章(26)の女性スキャンダルも報じられている。大事な大会を前に、ファンが興ざめするほど、チーム内の緊張感や危機管理意識は低いようだ。

「問題が発覚した台湾戦の前日、杉内はマスコミの目を避けて練習途中で帰宅してしまった。実は、台湾のエース・王建民(32)も昨年、過去の不倫が報じられて謝罪会見を開いている。来日中の台湾メディアの間からは『日本の選手は謝らないのか』といきりたつ声も上がっていました」(スポーツ紙デスク)

 スキャンダルばかりがメジャー級では、「人気不足」を招いてもしかたないか。