岩隈の戦績を試合ごとに追いかけていこう。今季は救援で14試合、先発で16試合投げている。6月末で仕事がきっちり分かれている。

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開幕から3週間も登板機会がなく、4月は2試合に投げたのみ。5月もわずか3試合。この時期の岩隈は、戦力とは考えられていなかった節がある。

しかし、6月に入ってようやく救援投手として立場を与えられた岩隈は、抜群とは言えないまでもそれなりの仕事をし、機会をうかがっていた。

そして6月末まで2勝10敗と不振を極めていたヘクター・ノエシにかわって、7月から先発に転向した。当初は70から90球での降板であり、成績も及第点ぎりぎりではあった。

転機となったのは7月30 日のトロント・ブルージェイズ戦であろう。
岩隈は140km/h代後半の速球とスプリッター(フォーク)、シンカーの組み合わせで13三振を奪った。球数も109球。2009年WBCのキューバ戦を思わせる快投だった。

この投球で自信を得て、また周囲の信頼も得た岩隈は、以後、先発投手として安定した成績を残したのだ。5回までに降板したのは1度だけ。安定感ではエースのフェリックス・ヘルナンデスに次ぐ存在になっていた。
シアトル・マリナーズ=SEAの先発投手陣。

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目立つのは、K9の高さ。リーグ屈指のパワーピッチャーであるヘルナンデスに次ぐ数字である。QSが少ないのは、今期の岩隈が早めに下げられる傾向にあったからだ。来季はどうなるだろうか。

SEAの先発投手陣で来季も確実に残るのは、ヘルナンデスくらいだ。岩隈も契約は今季限り。来季の去就は未定ではある。

しかし、岩隈はSEAで投げるべきだと思う。1シーズンをかけてこのスタイルに順応してきたということもある。何より、球場の恩恵を受けている。
ホーム&アウェイの成績。

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広いセーフコフィールドでこそ、岩隈は思い切った投球ができる。来季は頭から先発投手として活躍する岩隈久志の姿が見たいものだ。