韓国の与党・セヌリ党のパク・インスク議員は6日、再犯の危険性が高い性犯罪者を物理的に去勢する内容を盛り込んだ法案「性暴行犯罪者の外科的治療に関する法」を、国会に提出した。パク議員は、与野党の議員19人が署名したと明らかにした。韓国の複数のメディアが報じた。  韓国メディアは、「性犯罪者の物理的な去勢許可法案が発議」「性犯罪者への“物理的去勢”法案が国会提出へ」などと題し、性犯罪者の再犯を防ぐために、化学的去勢以外の物理的な去勢を行う内容の法案が発議されたと伝えた。

 与野党が性犯罪防止対策を打ち出しているなか、化学的去勢(性衝動薬物治療)だけではなく、物理的に去勢する法案まで登場した。この法案は、司法府による教化やリハビリなどが期待できず、かつ再犯の危険性が高いと認められる性犯罪者について、専門家の鑑定を経て「物理的去勢」を宣告するようにしたもの。

 物理的去勢は男性ホルモンを分泌する精巣を除去して性衝動を完全になくす方法で、現在、ドイツ、チェコ、スウェーデンなど一部の欧州諸国で実施されているという。

 セヌリ党のパク・インスク議員は、「既存の化学療法や電子足輪制度だけでは、凶悪な児童相手の性犯罪の予防に対して多くの制限がある」と主張。また、性犯罪はこれまで被害者の告訴がなければ、裁判を行うことができない親告罪だったが、この規定を削除する内容の立法も推進されているという。

 しかし、物理的去勢と関連して人権団体を中心に激しい批判も提起されており、法案の行方に注目が集まっている。(編集担当:李信恵・山口幸治)